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『 真価と進化 』

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2025.05.21号 VOL.284
母になり、母に想う

こんにちは。株式会社シンカの山内と申します。

今月は、母の日がありましたね。
北海道にいる母に、毎年何を贈ろうかと一通り考えてみるのですが、
最近は少しずつ物を減らし始めていることも知っているので、
今年も例年どおり、お花を贈りました。

体調が優れない時期が長く続いている母ですが、
お花を見ると、心が癒されたと連絡をくれました。

高校卒業と同時に実家を出てから、離れて暮らす時間のほうが長くなりました。
それでも“母”という存在は、私にとって
「無条件に愛し、幸せを願ってくれている」、そんな象徴です。

会えない時間が長くても、心のどこかで、支えになってくれていると感じます。

それでは、『真価と進化 2025.5.21号』、最後までお付き合いください。


母になり、母に想う


「その歳にならないとわかることがある」

実家を出て、大学に進み、社会人になり、
自分なりの考えや主張が強くなっていた頃、
母から「覚えていてほしい」と言われた言葉です。

母自身も、祖母から同じように言われていたのだと話してくれました。

体力も気力も満ちていた20代・30代。
記憶には残っていても、「そんなものかな」と、
正直、軽く受け流していたように思います。

でも、40代になった今、がむしゃらに駆け抜けてきた仲間たちと、
お互いの心境を語り合うなかで、
かつては見えなかった景色や想い、感覚が自分のなかに立ちあがってくるのを感じます。

どんなに本を読んでも、人から話を聞いても、
この感覚は、「今、この歳にならなければ」
きっとわからなかったことだろうと思います。

もうひとつ、商売をしていた祖母から、母はこんな言葉を受け取っていました。
「握り飯を背負っていれば、お腹が空かない」
私も子どもの頃から、母に何度か伝えられてきました。

サラリーマンの父のワイシャツはクリーニングに出さず、
いつも丁寧にアイロンをかけていた母。
私たちのハンカチにも、しっかりアイロンがかかっていました。

日々の細かい出費は控えながらも、
旅行や外食では、そんな素振りは一切見せず、
惜しみなく楽しませてくれた母。
ローンはもったいないと、マンションもキャッシュで買うような人でした。

そんな母の姿を見て育った私ですが、
「今しかできない経験を我慢するのはもったいない」と、
母とはだいぶ異なる生活を送ってきました。

母に対し、「もっと自分の時間を楽しんでほしいな」と、
子どもながらに、どこかで気になっていたのかもしれません。

そして私も、母になりました。
娘に、どんな言葉や姿を残していけるだろう。

そんなことをふと考えた、母の日でした。

編集後記

子どもに対して、あれこれ言いたくなることがあったとしても、
最終的に願うのは、ただひとつ、子どもの幸せ。
できることなら、苦しまないでほしい、傷つかないでいてほしい。
でも、それらもきっと、本人にとっては大切な経験。

私にできるのは、「大丈夫、ここにいるよ」と伝え続けること。
あとは、私自身に、どれだけ受け止める懐があるかということなのだと感じています。

それでは、次回もお楽しみに!

山内 綾子