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『 真価と進化 』

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2025.01.29号 VOL.268
この世界が優しくなくても

こんにちは。株式会社シンカの山内と申します。

2025年がスタートして、間もなく1ヶ月が経ちます。

昭和の元号が続いていたなら、昭和100年になる年。
SINIC理論(https://sinic.media/about//)では「自律社会」が始まるとされている年。
超高齢社会を迎える中、「2025年問題」と呼ばれるさまざまな課題も取り上げられています。

真実とは何か?正義とは何か?そして、命とは何か?
年明けから、社会が大きく変化していると感じられている方も多いのではないでしょうか。

皆さんは、この変化の中を、どんな心持ちで迎えていらっしゃいますか?

それでは、『真価と進化 2025.1.29号』、最後までお付き合いください。


この世界が優しくなくても


先日、20年来親交のあった方との、突然のお別れがありました。

健康そのもので、40代半ばにも関わらず、身体年齢は20代の判定も出ていたそう。
永遠の眠りについた、その顔を見てもなお、まだ実感のわかないまま、
人の命の儚さに、何も言葉が出ず、いまだに気持ちの整理がつかないままでいます。

「どうして?」
心の中でその問いが繰り返されるばかりです。

夜眠りにつくとき、まさか明日がこのまま来ないなんて、
日常を過ごしていたら、思いもしません。
でも、身近なところで起こったこの現実に向き合うと、
「今を生きる」ということが、教えや理論を言葉で理解していたつもりでも、
実際に日々どう生きているかとの間に、大きな乖離があることを痛感します。

その知らせから1週間も経たない頃、同じく20年来の友人に新しい命が誕生しました。
命が誕生する奇跡は、理屈抜きで、何ものにも代えがたい喜びを感じます。
命の儚さと尊さへの実感が、同時に訪れた1週間でした。

そんな心境の中で、2歳の子どもの成長を見守る日々が、
私にとっての救いとなっています。

新しい言葉を覚えたり、食べられる料理が増えたりと、
ほんの些細なことでも、その瞬間ごとに子どもが全力で生きていることを感じさせてくれます。

お風呂の時間になっても、夢中になっている遊びを中断できず、
「お風呂からあがったら続きをやろう」の提案はなかなか聞き入れてもらえません。

その代わりに、脱衣所での着替えの時間を楽しめるよう工夫してみたり、
本人にも役割を担ってもらったりすると、気持ちを切り替えて、
積極的にお風呂の時間を楽しむ様子が見られます。

「あとでやれるから今を我慢する」のではなく、今この瞬間を一生懸命に生きる姿。
その姿は、私たち大人にとっても大切なことを教えてくれている気がします。

今回のお別れの気持ちを自分のなかで整理していくなかで、ふと出てきたのは、
フランスの哲学者サルトルの有名な言葉、
「実存は本質に先立つ」でした。

サルトルの実存主義の核心をなすもので、人間は自分の生き方を選択する自由を持っており、
その選択が本質を作り出すという考え方です。

私たちが何者であるかは、生まれた時点で決まっているのではなく、
自分自身の行動や選択によって決まるという哲学的立場です。

今はまだ、寂しさが募るばかりですが
派手ではないけれど、その行動から感じとった優しさ、温かさ、安心感を忘れずに、
この混沌とした、ともすると絶望も感じてしまいそうな時代のなかで、
簡単ではない「今を生きる」を、一歩ずつ歩んでいかなければならないと感じています。

編集後記


自分の心を占めている部分が大きく、どうしてもこの話題を避けることができず、
心が沈んでしまう内容だったかもしれません。

話題を変えて、歌手「ちゃんみな」さんがプロデュースしている
ガールズグループオーディション番組『No No Girls』(通称:ノノガ)を
ご覧になった方も多いでしょうか。

お正月に義姉妹たちが見ていたのをきっかけに、結局遡って全編を観てしまいました。

「ちゃんみな」さんの曲は、ラップもあり難しく感じますが、
今年小学生になる姪っ子も歌っているようです。
「鋭い歌詞にハラハラする」と父親は言っていましたが、
義姉妹たちは「自分の引き出しとして、そういう強さを持っておくことも大事だよね」と
話していました。

困難に直面したとき、心の「お守り」をもっておくことは大切ですね。

それでは、次回もお楽しみに!

山内 綾子