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『 真価と進化 』

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2025.01.22号 VOL.267
色んなところで揺り戻し

こんにちは。株式会社シンカの稲村と申します。

年末年始は9連休だった方が多いと思いますが、どのように過ごされたでしょうか?
私は、例年 元日は家の中に籠っていることが多いのですが、アクティブな年にしたいなと
外に出掛けて映画を2本観ました。アクティブといってもインドアですが(笑)

その映画に関するネット記事を読んで、なるほどと感じたことがありましたので、
ご紹介させていただきます。

それでは、『真価と進化 2025.1.22号』、最後までお付き合いください。


色んなところで揺り戻し


観た映画は『はたらく細胞』と『グランメゾン・パリ』です。
どちらも劇場に足を運んで観る価値があったと私は思いました。
自分が面白いと思ったのなら、それだけで十分なのですが、このご時世、
世の中の評判も気になってしまいます。また、予約をネットでしたこともあってか、
自分が見るニュースサイトに関連記事が多く上がってきます。
その中に『グランメゾン・パリ』にプロの料理人も涙しているという内容のものがありました。

映画の前に、スペシャルドラマの『グランメゾン・東京』も観たのですが、
その中の肉料理のシーンの意味が興味深いものでした。
ドラマの料理監修をされている「レストラン カンテサンス」シェフ岸田周三さんは、
「低温長時間ロースト」を行うシェフとしてかつて名を馳せた方。しかしこのシーンでの肉料理は
低温調理の揺り戻しともいうべきフライパンで焼く昔ながらの調理法です。
素材の温度感や料理のライブ感をより強く感じることができ、だからこそ
この料理が新たに生まれ変わった『グランメゾン東京』を象徴するメインとして
選ばれたのだろうとの事。一周回ってクラシックな調理法が見直されている現代の風潮を
反映したものといえると、ネット記事にありました。料理人も感心するリアルなシーンだったのですね。

以前、『ゴジラ-1.0』がアカデミー賞の長編アニメーション賞を受賞した際に
「CGアニメーションの広がりで手描きアニメの技術が途絶えていくなか、
揺り戻しのようなことが起きていて、他にも手描き風のCGアニメや2Dアニメがノミネートされていた。」
という事を知りましたが、料理界でも似たことが起きているのだなと。

映画版の『グランメゾン・パリ』の中では、気持ちの面での原点回帰も描かれていました。

昨年末の紅白歌合戦で、氷川きよしさんが、原点回帰の”演歌”で復帰され大好評で、
ご本人も充実感に溢れた表情をされていました。

カセットテープブームがあったりしますが、ノスタルジーを求めた趣向でなく、
「これが好きなんだ」とカセットテープを選択する人がいます。
うちの菩提寺の若住職(ミュージシャンでもある)がそうで、SNSで熱く語っています。

友人は、ドラム式洗濯機を便利に使っていたが、壊れて買い替える際に、
「やっぱり、たっぷりの水でジャブジャブ洗いたい。洗っている感が好き」と言って
縦型の洗濯機に戻しました。

かくいう私も、20年使ったオーブンレンジがとうとう寿命ということで買い替える際、
スチーム機能などがある機種が思いの外安くなっている事を知って惹かれましたが、
単機能レンジに戻るとまではいかないものの、基本機能がしっかりしたシンプルなものを選びました。
購入方法もネット通販ではなく実店舗。実機に触って、店員さんと色々話して買いました。
良い店員さんに当たったのかも知れませんが、ネットの口コミだけでは得られなかった情報もあり、
コミュニケーションをとる中で自分の使い方に合ったものを納得して選ぶことが出来ました。

料理界、アニメーション業界の事として、ふむふむと揺り戻しを意識し始めましたが
身近なところでも、結構おきていることでした。

在宅勤務からオフィスへ、バーチャルからリアルへといった事もありますね。

戻るというのは、一見逃げのようにも見えますが、勇気の要ることだと思います。
進めたことが合わなくなってきたのに、せっかく進めた事だから勿体ないと、戻る事を選択から除外する事こそ勿体ない。
戻る事も進化と捉えられるかも知れませんし、その状況では不要といえるものもあるかも知れません。
Aliveで過ごすことを楽しむ為に電子レンジは単機能のものすら不要であるように。

変化する状況に合わせて、頭を柔らかくして適したものを選べるようにしたいですね。

≪参考≫プロの料理人も涙「グランメゾン・パリ」のリアル (東洋経済オンライン)
https://toyokeizai.net/articles/-/850584/


編集後記


東京と山形の2拠点生活を10年以上続けている70代の親戚がいるのですが、
最近になって東京での月極駐車場の契約をやめたそうです。
東京1拠点生活だった時に車移動が多かったこともあり、
移動は車という固定概念があったのか、東京-山形間を車で移動していたのですが
JR東日本の「大人の休日倶楽部」で新幹線チケットを買えば、駐車場代と高速代よりも
安く済むし、なんといっても自分で運転することなく3時間で移動できちゃうと、
車から解放されて晴れ晴れした様子で話してくれました。
今は切符を買っているけど、スマホでピって改札を通ってみたいわと進化は止まらない様でした。

戻るを超えて手離して、新たな楽しみを手に入れたのですね。
<放てば手に満てり>という禅の言葉を思い出しました。

それでは、次回もお楽しみに!

稲村 祥子