シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

SHINKA Mail Magazine

← 一覧にもどる
2024.11.13号 VOL.258
最近何やっているの? 

こんにちは。株式会社シンカの横田と申します。

先日、衆議院議員総選挙が行われました。
結果として、自公与党が過半数獲得に至らず、政策決定への野党の影響力が強まることとなりました。
私が注目していた投票率は前回を下回り、53.85%となりました。
10代の投票率も速報値43.06%と前回を下回りました。

また先日アメリカ大統領選もトランプ氏の当選で決着しました。
アメリカ大統領選の投票率は前回66%超と戦後1位の高水準であり、
今回も65%と次点という結果になりました。

投票率がすべてではないですが、無関心になりすぎないよう、
最近の政治情勢を追いかけていきたいところです。

それでは、『真価と進化 2024.11.13号』、最後までお付き合いください。


最近何やっているの?


働き始めてからというもの、コロナの影響での空白期間もあって疎遠になる友人も多く、
年に数回しか会えない友人関係も貴重なものと思っております。
先日久しぶりに会った友人に、別の友人が「最近どんな仕事しているの?」と尋ねました。
尋ねられた彼は「大体メールを返してる」と答えました。

マーケティング、経理、などの職種や●●のプロジェクト、といった業務内容を返すのが期待されていた中で、
彼の返答は行動視点からの切り口で新鮮な思いをしました。
確かに自分もメールかチャットかExcelの操作が主だなと共感しつつ、
ふと自分だったらなんて返していただろうと思いをはせました。

守秘義務を守りつつ話そうとすると、具体的でわかりやすいことは何も話せないなと気づきました。
仮に愚痴を言おうとしても、そもそもやっている仕事の背景から説明するのも大変で、
そういった手間をかけずに面白く場を盛り上げようと、彼はその返答をしたのだなと感心しました。

となってくると、そもそもこの問い自体にある程度の暴力性があるのかもしれません。
相手に伝わるような粒度で、仕事の中の一部を制限付きで取り上げたうえでの
回答をしなければいけないと、期待が含意された質問かもしれません。

こういった性質は漠然とした質問によく見られます。
例えば、子どものころにされた「将来の夢は?」という質問。
小学校の卒業アルバムの企画ページなどで尋ねられたりなど、事あることに聞かれていた気がします。
当時の僕にはなりたいものが特になく、大人へのイメージが全くなかったので、
漠然と小説を書くのが好きだから「作家」だったり、親の仕事と同じものを適当に答えていました。
つまりこれは夢と聞いていて「職業」を答えること・そしてわかりやすく伝わるものを答えることが
期待されている質問といえると思います。
当時の僕のように「夢なんてわからない」と答えたり、
はたまた「たくさん本を読んでくらしたい」「親より長生きしたい」でもよいはずです。
小学生くらいならまだ職業ではない「お嫁さん」「お金持ち」といった答えは許容されていたはずですが、
年齢が上がっていざ高校大学の進路を決めようというときに、その回答は期待されていないでしょう。

「将来の夢」ぐらいであればかわいいものですが、
最も脅威に感じているのは、「最近何やっているの?」という質問です。
文脈とその人との関係などで、多様に期待が変わるという点がとても厄介です。
定職についているのかわからない人へ聞くのであれば「職業」の回答が期待にあり、
職があるとわかっている関係であれば「仕事内容」や「趣味」の可能性もあり、
はたまた適齢期であれば「結婚相手はいるか」の質問にも化けます。

「季節の変わり目だからよく寝ている」など生活実態を答えてもよいはずで、
もちろんそれでも問題ない場合と、それ以外の回答の期待がある場合が分かれています。

我々は文脈判断と相手の期待の想像で毎日のコミュニケーションを試行錯誤していますが、
できるだけ相手に期待の邪推をさせないよう、意図の明確なやり取りを心掛けたいなと
改めて思いました。

編集後記


「大体メールを返している」と答えた彼は、その実それだけではなく、
直属の上司と別部署の上司とがそりが合わないようで、その係争によく巻き込まれていると話していました。

あとはお菓子を配っている、など茶化していましたが、
人には言いづらい苦労がたくさんあるものです。
一緒にグラスを傾ける機会をもっと増やしたいな、と思いました。

それでは、次回もお楽しみに!

横田 悟