シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

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2024.6.19号 VOL.239
分母を間違えるな

こんにちは。株式会社シンカ代表の田中です。

先日、Xの自治体アカウントで日本一のフォロワーを集めた
安芸高田市の石丸市長の退任と、東京都知事選出馬のニュースが
話題になっています。

そして、蓮舫氏の出馬、小池都知事の3期目出馬もニュースになり、
7月7日の都知事選の投票が楽しみです。

石丸市長の退任前最後の財政説明会の動画を見て、なかなか痺れました。
ここまでハッキリ、厳しい現実を言ってくれる市長はいないでしょう。
https://youtu.be/mu6NhH3QvyU?feature=shared/


そこで改めて思いました。
特にこれからの日本は、「分母を間違えてはいけない」と。

それでは、『真価と進化 2024.6.19号』、最後までお付き合いください。


分母を間違えるな


例えば、「日本は圧倒的に中国に引き離された」と言われます。
これは本当でしょうか?そうでないとすれば、どの程度なのでしょうか?

手元で探せる範囲で見つかった、実質GDPの数値は以下の通りです。

●2022年 実質GDP
アメリカ 21,236,276 百万US$
中国   16,325,036 百万US$
日本    4,509,358 百万US$

たしかに、中国のGDPは日本の4倍に急成長しました。

しかし、中国の方が10倍以上人口が多いので、同じような市場経済を
取り入れるならば、当然の結果と言えます。

私たちにとって重要なのは、私たち一人ひとりの豊かさがどうか?です。

そこで、GDP(=付加価値)を生み出すのは労働者ですから、
主に付加価値を生み出す「生産年齢人口(15~64歳)」を
分母にして割り算してみたらどうなるでしょうか?

●2025年 生産年齢人口(予測)
アメリカ   227,147 千人
中国     996,521 千人
日本     71,652 千人


●生産年齢人口1人あたり実質GDP
アメリカ   93,480 US$
中国     16,384 US$
日本     62,925 US$

こうしてみると、日本人労働者1人あたりは、中国の労働者の
3.8倍の付加価値を生み出す生産活動をしていると言うことができます。
アメリカとの比較で言えば、日本人労働者の生産性は1.5倍に伸ばせる
余地があるということですね。

また、似たようなニュースで、軍事費についても語られることがあります。

●2022年 軍事費
アメリカ 876,943 百万US$
中国   291,958 百万US$
日本    45,992 百万US$

今度は、守るべき対象である「総人口」を分母に割り算してみましょう。

●2023年 総人口
アメリカ  335,135 千人
中国   1,411,397 千人
日本    124,621 千人


●人口1人あたり軍事費
アメリカ   2,620 US$
中国      207 US$
日本      369 US$

中国よりも日本の方が国民1人あたりにかけている防衛費は多く、
アメリカが圧倒的な軍事費を支出していることがわかります。
アメリカが世界の警察と呼ばれる所以ですね。そりゃトランプも激おこです。

これからの日本は、毎年50万人以上のぺースで人口が減っていきます。
ですから、住宅着工戸数、新車販売台数、出生数など、
いかにも「総量が増えたら良いこと」的な統計にはあまり意味がありません。

大切なのは、私たち一人あたりの豊かさが維持・拡大しているか?
将来不安が軽減されているか?幸福感が高まっているか?です。

何かのデータを見た時に、「分母」を疑って捉えましょう。

編集後記


あなたも身の回りの数字を「分母」を変えて見てみましょう。
「1人あたり」で割り算してみるだけでも、新しい視点が得られます。

・従業員1人あたり付加価値額は?
・従業員1人あたり教育研修費は?
・従業員1人あたり移動時間は?
・顧客1人あたりの消費量は?
・顧客1人あたりの平均滞在時間は?
・顧客1人あたりの利益額は?

思い込みから解放されて、新しい発見・気づきがあり、
これまでになかった打ち手が見いだせるかもしれません。

それでは、次回もお楽しみに!

田中 裕也