シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

SHINKA Mail Magazine

← 一覧にもどる
2024.3.13号 VOL.225
音声メディアの魅力

こんにちは。株式会社シンカの稲村と申します。

春は出会いと別れの季節。放送局では改編期でもあり、ドラマなど初めから
終了回が決まっている番組の他に、この春は、長年愛されてきた情報番組、
バラエティー番組でも終了を迎えるものが多い印象です。
変化して視聴者を惹き付ける目的以外にも、業界の構造変化、出演者事情、スポンサー事情等々
様々な事情があると思いますが、新しい番組との出会いが楽しみな反面、別れは寂しいものです。

それと比べると、ラジオ番組は長寿番組が多い気がします。
地元に帰って車に乗った時などに流れてくるラジオに、「あっ、この番組の
このコーナー、まだ続いているんだ」と驚いた事は無いでしょうか?

テレビよりも先にオワコン化が心配されていたラジオですが、このところ
ラジオに代表される「音声メディア」の人気が上がってきているようです。
今回はその理由を探ってみたいと思います。

それでは、『 真価と進化 2024.3.13号』、最後までお付き合いください。

音声メディアの魅力


皆さんは、初めて自分で習慣的に聴くようになったラジオを覚えていらしゃいますか?
6歳上の兄の影響を大きく受けた私は、小学6年生で自分の部屋とラジカセを手に入れた時に
谷村新司さんとばんばひろふみさんの『青春キャンパス』という番組を聴き始めました。
いまから40年ほど前の事です…。
同級生で聴いている人は誰もおらず、当時のテレビ番組の様に翌日話題になる事も無かったのですが、
それでも、いや、それがかえって、少し大人になったようで楽しみに聴いていたのを覚えています。
ハガキ職人による投稿、続けて聴いていなと分からない内輪ネタ、ちょっとキワドイ話等
入門番組にして、ラジオの魅力が凝縮されていたように思われます。

そこから、チェッカーズや吉川晃司といった、アイドル的アーティストの番組も聴くようになり、
高校生になると、とんねるずやウッチャンナンチャンのオールナイトニッポンを聴くように。
関連書籍を買ったりもしました。

当時はテレビへの出演も多かったパーソナリティの番組を聴いていた訳ですが、
ラジオの方が縛りが厳しくなく、より素の声・本音で話しているなぁと子供ながらに思ったものです。

そのパーソナリティのファンだけど、部活の朝練があるからラジオを聴くことが出来ない友達に
「この裏情報(スタッフの内輪ネタ等)を知っていると、
次のテレビ番組がより面白くみられるよ」と休み時間に話したり
ポイントをまとめたレポート的なものを渡したりしていたのですが、
今思うと、あまり伝わってなかったと思います。パーソナリティから直に
深夜の空気感を纏って聴くことで、別の番組でみる時にも親近感を感じられるものなので。

この距離感の近さこそが、今「音声メディア」がキテいる理由のようです。
ラジオは、インターネットでタイムフリーでも聴く事が出来るようになり、
ポッドキャストは、発信側にとってもハードルが低めです。
自由度高く話せるので、タレントや芸人さんも音声メディアでの発信をやりたがる方は多いようです。
ポッドキャストなら素人だって発信出来ます。顔出しナシで。

ハガキでの投稿はSNSでの書き込みになって、双方向でのコミュニケーションが
よりスピーディーになり、SNSで呟きながら聴くスタイルもあるので、オンタイムで
聴きたいというリスナーも多いと思います。
そうすると、より親密度が増して、熱狂的なファンになっていくのだと思います。

自身もラジオパーソナリティを務めるテレビプロデューサーの佐久間宣行さんは、
音声メディアは長く話すという特性から人の共感を得やすいと語っています。
テレビで面白いと人気者になり、ラジオで面白いと"好き"になっちゃうというのが
メディアの違いだそうです。なるほど。

番組の公開イベントも多いようで、先日行われていた「オードリーの
オールナイトニッポン in 東京ドーム」は、その規模感にも驚きました。

リスナー同士にも親密な関係が生まれやすいようで、ラジオ番組が企画した旅行で
知り合った者同士が、元々は人付合いが苦手なタイプなのに仲間になって…というドラマもありました。
同じテレビ番組を見ている者同士というきっかけではイメージし難いですが、ラジオならありそう。

また、そこまで熱を持って聴いて(聞いて?)いなくても、身近で生活に溶け込めるということも
音声メディアが再注目される理由だと思います。
手を動かしながら、目では別のものを見ながら聴く事が出来るので、
運転しながら、料理をしながら、農作業をしながら、子供を寝かしつけながらetc.
寂しくなかったり、ちょっとした情報が得られたり。

テレビともYouTubeとも違う「音声メディア」。
魅力がいっぱいですね。
久しく触れていないなという方は、ながら聞きを試してみてはいかがでしょうか?

≪参考番組≫
あさイチ 2024/2/19放送 実はいま人気「音声メディア」?耳よりな“ラジオ”の話

編集後記


先日、アメリカ映画界で最高の栄誉とされるアカデミー賞の各賞が発表され
長編アニメーション賞に、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が、選ばれましたね。
アニメや映画のビジネスに詳しい数土直志さんによると、「CGアニメーションの広がりで
手描きアニメの技術が途絶えていくなか、揺り戻しのようなことが起きていて、
今回、他にも手描き風のCGアニメや2Dアニメがノミネートされていた。」とのこと。
手描きだからこそ伝わる熱のようなものがあるのでしょうね。
なんだか音声メディアの世界にも通じるものがあるなと感じました。
視覚効果賞 山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」も、ハリウッド作品に比べると低予算の下、
(テレビ番組とラジオ番組のそれの差くらい?)
技術力やイマジネーションで表現して魅せた事も受賞理由のひとつだと思います。
素晴らしいですね。

それでは、次回もお楽しみに!

稲村 祥子