シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

SHINKA Mail Magazine

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2023.10.18号 VOL.205
学校の掃除から学んだこと

こんにちは。株式会社シンカの横田と申します。
10月というのは、4月に次ぐ区切りの月という気がしています。
日本の企業では多くが10月から下期としているだけでなく、
気候の上でも10月に入ると残暑が去り、秋から冬にかけての冷え込みに切り替わります。
1年で見ても過ごしやすい月からか、行楽シーズンでもあり、
また世界的に見ても祝日が多い月のようです。

最近は急な気温の変化で体調を崩しがちという声もちらほら聴きますが、
1年でも数少ない変化の月なので、健康で前向きな気持ちで毎日過ごしたいですね。

今回はそんな下期のスタートの際にふと思い出した記憶の話です。
それでは、『 真価と進化 2023.10.18号』、最後までお付き合いください。

学校の掃除から学んだこと


先日、弊社で下期キックオフ会を行いました。Aliveの掃除を社員で行いました。
場所は弊社の、一棟まる貸し宿泊施設「Alive サステナブルラボ飯能」。
Alive開業以来、半年に1度のキックオフ会はここで行うのが恒例となっています。

キックオフの会議パートはいつも短く2時間程度で、残りの時間はHello,againコインの加盟店を巡ったり、
夜のBBQの食材を地元の商店に買い出しに行ったりと、飯能の人や地域を知る時間となっていました。

今回はAliveの建物の大掃除を我々で行いました。
建物を購入してすぐのときに数度実施していましたが、久しぶりに自分たちでの掃除。
当初は窓ひとつとっても汚れがひどかった記憶がありました。
今は3年経ち、宿泊施設として運営しているため、当初と比べて見違えるほど綺麗です。
特に、普段は飯能市のシルバー人材センターの方が掃除をしてくれており、
おかげさまで我々の掃除も、天井の埃や白壁の汚れなど細かいところをしたのみでした。

私は天井の埃を落として埃を吸い取るという掃除をしていたのですが、
手分けして掃除をする機会は久しぶりだなと思っていたら、
ふと私の通っていた中高では掃除の時間がなかったことを思いだしました。

私立中高一貫で掃除の会社へ委託する余裕があったことが大きな要因と思われます。
黒板消しや放課後に教室内を軽く箒で掃きごみ捨てに行く当番があったのみで、
窓やトイレや特別教室などは全く片づけた覚えがなかったです。

小学校では掃除の時間を設けて水場やトイレ、特別教室まで各クラスや班で分担していたので、
入学当時は意外に思ったことを思い出しました。

学校教育において、行内清掃を生徒が行うというのは、世界的に見れば珍しい文化のようです。
例えばアメリカでは清掃は清掃員の仕事として、生徒は学校では勉学に集中する、という考え方から、
ぼくの母校のように校内清掃を委託する、という文化になっています。
日本では、日本の伝統的な「道」の心の修行という考え方や、
僧侶の作務が心を磨くという仏教の考えから、掃除を通して精神修養をさせよう、という考え方があります。
日本の学校教育が江戸時代の寺子屋を源流にしていることを思うと、当然の伝統かもしれません。

掃除で学べる精神がどのようなものなのかにはいろいろと考えがあると思いますが、
僕自身は、中高で掃除をしなかったことで学んだことがあります。

中高では掃除についての義務がほぼなく、また当番のサボタージュも横行していたので、
結局、先生や気の優しい生徒数名が毎日のように自発的に掃除をすることになっていました。
先生はその不平等さに気をもんで当番制を徹底することをクラスに提案していましたが、反対派が多く成立しませんでした。
それもそのはず、先生に賛同してもよいはずの気の優しい生徒たちは、全く不平等だという声を挙げなかったのです。
ある生徒は「このままだと掃除してくれる方に申し訳ないから掃除をしている」と話していたことを未だに覚えています。

結局は人に後を任せる。だからこそ負担をかけないように自分たちでできることはしよう、という考え。
例えばホテルの部屋を出るときに、ごみは分別してまとめて、リネンは未使用と不使用でまとめてわかりやすくしておく、
例えばレストランで食事をした後、重ねず下げやすいようにまとめておく、
そういった日々のちょっとした習慣にかかわっている考え方だと今改めて思います。

どうせ全体を掃除してくれるだろう、どうせ機械でやってくれるだろう、
ということも尤もですが、資源や労働に無駄が出てコストが高くなったり、
働く人に不満がたまってやめてしまったり、結局自分たちのためにならない、
持続可能的ではない考え方だと思います。

負担を減らすためという心遣いができるようになること、
まわりまわって自分のためと思って行動ができるようになること、
実はそれが、掃除をしないことから学べることなのかもしれません。

▼世界の学校の掃除事情。日本の学校の掃除の歴史と清掃員との関わりとは
https://www.teramoto.co.jp/columns/8236//

▼学校で子どもが掃除するのは当たり前ではない-世界の教育をリードする日本の学校清掃
https://eduwell.jp/article/japan-children-cleaning-school-lead-world-education//

編集後記


身の回りの掃除ができることは、健康に生きる生活スキルの面で重要です。
水アカの汚れやガスコンロの油汚れを取ったり、
ホコリの掃除などができないと、衛生面から体調を崩してしまうことになります。

今ではネットで検索すればできてしまうものですが、
なぜ掃除をしなきゃいけないかを知るために、学校で一斉に掃除をさせることは大切ですね。
掃除一つとってもいろいろと学べるなと改めて思わせられました。

それでは、次回もお楽しみに!

横田 悟