2023.8.9号 VOL.196
身の回りにある落とし穴
こんにちは。株式会社シンカの山内と申します。
「4年ぶり」の花火大会、お祭り、盆踊り、甲子園の土集めなど、
各地から夏らしいニュースが届き、当たり前だった「日常」が戻ってきたことに嬉しさを感じます。
一方、この異常な暑さも日常になり、猛暑でなければ涼しいと感じる自分に驚きます。
人間はいかに慣れる生き物であるかという適応力に感心するとともに
当たり前にこそ疑問や違和感を持つことを同時に意識していきたいところです。
それでは、『 真価と進化 2023.8.9号』、最後までお付き合いください。
身の回りにある落とし穴
今回は、日常でうっかりはまってしまいそうと感じた落とし穴をご紹介します。
●顧客満足向上を目指した先の落とし穴
先日、アパレル企業のカスタマーサポートで働いていたことのある
親戚からこんな話を聞きました。
希望者には包装を無料サービスにしたところ、
折り方が汚い、テープの貼り方が曲がっているなど、クレームが多く入ったとのこと。
有料に切り替えたら、そうしたクレームが一切なくなったとのことです。
お客様に喜んでいただきたいと思って無料にしたところ、
それが逆にお客様の不満につながってしまった。
皮肉な話ですが、思い返せば、色々な場面で起こっていそうです。
無料で提供される商品やサービスに対して、人はより厳しい評価をしたり、
無駄使いや浪費的な行動をとったりすることがあるようです。
無意識にその価値を低く見ているということですね。
金銭や努力など、何かの対価を投じないと、価値が低いとみなしてしまい、
逆に一定の対価を投じれば、それに見合った価値を期待し、
むしろ過度な期待もしなくなるようです。
自社のサービス提供、もしくは、自身が無料サービスを利用する際の振る舞いを
見直してみてもいいかもしれません。
●エンゲージメント向上を目指した先の落とし穴
新サービス『チームワーク向上診断』を受検いただいたモニターの方に
お話を伺った際の会話です。
私:「定期的にチームの状態を把握するために、例えば、社内で実施されている
エンゲージメント診断を受検してもらうといったことは、必要だと思いますか?」
モニター:「いや、むしろ絶対にしないでほしい。そうなった瞬間にそのスコアを
上げることが目的になってしまうし、一気に会社目線になってしまいます。」
組織に対する愛着や思い入れをもって、意欲的に仕事に取り組んでもらうことが
結果的に組織の成果に結びつくという考えのもと、
エンゲージメント向上施策を取り入れている企業様も多いと思いますが、
手段が目的化してしまうことも多々ありますね。
役員報酬や上司評価に、従業員や部下の働きがいを連動させているケースも、
同様の落とし穴が潜んでいるように思います。
ある大企業の部長さんがおっしゃっていました。
「エンゲージメントは忖度ツールにしかなっていない」と。
●幸福度向上を目指した先の落とし穴
追い求めると逃げていく、代表的なものが「幸福」でしょうか。
将来不安が蔓延する現代社会で、「幸福」に焦点が当たり、
エンゲージメントや働きがい同様に、「ウェルビーイング経営」に注目が集まるのも、良い動きだと思います。
ただし、「幸せは会社から与えてもらうもの」
「幸せは追いかけないと得られないもの」として捉えると
途端に、いまこの瞬間の幸せを感じられなくなってしまうものです。
日々の小さな幸せを得るコツは、「感謝」の気持ちを持つこと。
最近、幸福感が低いなと感じる方は、ぜひ、「ありがとう」と口にすることを意識してみてください。
編集後記
自社サービスでも、直近の無料モニターといい、
無料トライアルといい、「無料」が並んでいること…苦笑
お客様にとってのサービスの価値をしっかり見定め、
安易な道には落とし穴が潜んでいることを意識して今後も取り組んでいきたいと思います。
ちなみに、お盆には、石川県の和倉温泉加賀屋に宿泊する機会があるので、
そのサービスレベルもしっかり味わって学びを得てきたいと思います。
それでは、次回もお楽しみに!
山内 綾子