シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

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2023.8.2号 VOL.195
ギャップによる効果

こんにちは。株式会社シンカの稲村と申します。
暑い日が続いており、屋外のプール利用を中止したなどというニュースも
聞きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。こうも暑いと、それを逆手にとって
町おこしに繋げようという動きもあります。埼玉県熊谷市、岐阜県多治見市などが有名ですね。
こうしたポジティブな暑さ合戦は、ここ15年くらいのもののようです。
2007年に熊谷市と多治見市で当時の日本の観測史上最高気温となる40.9℃を記録するまで
74年間も日本の最高気温記録を保持していたのが山形県山形市だということをご存じでしょうか?
山形市は山に囲まれた盆地という地形柄、暑いことは暑いのですが、
特にそれをアピールしてはいなかったので、ご存じなかった方が大半だと思います。
山形出身の私も、あまり他県の方に紹介したことはありません。
ただ、一度聞いたら忘れないのではないかと思われます。東北地方で何故?
というギャップにより印象が強くなるためです。

今回は、ギャップがあると何故 印象が強くなるのか、惹かれるのかについて考えてみました。

それでは、『 真価と進化 2023.8.2号』、最後までお付き合いください。


ギャップによる効果


「ギャップ萌え」という言葉がありますね。サブカルチャー文化から生まれ、
言葉として使われるようになったのは最近ですが、概念そのものは以前から存在しており、
心理学で使われる「ゲインロス効果」と深い関係があります。
ゲインロス効果とは、「それまで周囲に与えていた印象を、ポジティブ、
またはネガティブに裏切ることで、より強い印象を相手に与える」というもので、
ポジティブに裏切ることを「ゲイン効果」、ネガティブに裏切ることを「ロス効果」と呼びます。

ゲイン効果の具体例として、こんなことをよく聞きますね。
・怖そうだなと思っていた人に挨拶されただけなのに好感度が爆上がりした。
・仕事ではクールな人が、飲み会の席ではとても気さくでおしゃべり上手だった。
・融通の利かない堅物だと思っていた人が、粋な計らいをしてくれた。
ロス効果では、こんなことがありがちでしょうか。
・職場では礼儀正しくキッチリした人なのに、飲食店の店員さんに横柄な態度をとっていた。
ロスに見せかけたゲイン効果もあります。
・いつも強気な人が自分にだけ弱い部分を見せた。心を許してくれているのだなと思った。

ゲインにしろロスにしろ、最初から同じ印象(それが良いものであっても)が続くより
大きく心を揺さぶられます。

大人びた発言・振る舞いをする子供だなと思っていたら、些細なことに無邪気に喜ぶところを見た
なんて日にゃぁ、ギャップ×ギャップで、もうイチコロ。心を鷲掴みにされてしまいます。私は。

「ツンデレ」も「ギャップ萌え」の代表格ですね。
先日、フジテレビ『私のバカせまい史』で「織田信長デフォルメ史」をテーマにした回を
観ていたところ、織田信長が漫画やゲームなどで描かれた件数が2008年~2018年に
急増しており、その原因は「歴女」ブームと「ツンデレ」ブームではないか
という見解が述べられていました。信長がツンデレという印象は私も持っています。
gooランキング 「ツンデレだと思う戦国武将は?」によると、2位に圧倒的差をつけて
信長が1位になっています。
残虐・うつけ・策略家といった誰もが持つイメージが強く、振りが効いてるので、
秀吉の浮気に悩むねねを気遣う手紙を送っただとか、反抗した武将を許して家臣にした
といったエピソードが強く印象に残るのですね。魅力的に映り、フィクションの素材として
使いたくなる気持ちが分かります。

ギャップによる効果をあざとく狙い過ぎるのはどうかと思いますが、
ビジネスにも応用できそうですね。
ただ、気を付けなくてはならないのは、信長よろしく、ベースになる印象が
キチンとあることではないでしょうか?
普段から浅いコミュニケーションしかとっていなくて、印象が薄いのに、
「ほらほら、ギャップ感じるでしょ?」といったところで、相手はキョトンとしてしまいます。

また、ギャップを感じさせるようなシーンは、メールやリモート会議では
なかなか生まれないのではないかとも思います。
アフターコロナと言われる今、コロナ禍で得た利便性は残しつつも、
リアルに会って話して、お互いのいろんな面を見て関係性を深めていきたいですね。


≪参考≫
聖泉大学 脇本忍准教授 京都新聞連載心理学コラム
https://www.seisen.ac.jp/news_topics/26655/


ツンデレだと思う戦国武将は? gooランキング
https://ranking.goo.ne.jp/ranking/43046//



編集後記


暑いことを、ことさらに外にはアピールしてこなかった山形ですが、
夏を乗り切る「冷やし文化」というものがあります。
冷やしラーメン(冷やし中華ではないです)
冷たい肉そば
冷やしシャンプー
コロナ禍には冷やしマスクが自動販売機で売られました。
何でもかんでも冷たくして楽しむ山形の冷やし文化。最近は東京でもちらほら
目にすることがあります。
皆さんも自分のお気に入りの冷やし○○を見つけてみて下さい。夏が楽しくなりますよ。

それでは、次回もお楽しみに!

稲村 祥子