2023.6.28号 VOL.191
花粉症対策にスギを切ったら
こんにちは。株式会社シンカ代表の田中です。
今年4月、岸田首相が「花粉症対策」を取りまとめるよう指示し、
5月30日に花粉症に関する関係閣僚会議の第2回目が開催されました。
私自身は幸い花粉症のコップは一杯になっておらず助かっていますが、
毎年症状が出る方にとっては死活問題だと思います。
今回は、しばしニュースから鳴りを潜めている花粉症対策のうち、
スギ人工林の伐採について考えてみたいと思います。
それでは、『 真価と進化 2023.6.28号 』、最後までお付き合いください。
花粉症対策にスギを切ったら
まずは、政府の花粉症対策HPを見つけましたので、シェアします。
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/kafunnsyou/index.html/
政府発表の「花粉症対策3本柱」のうちの1つの「発生源対策」として
今後10年間で、花粉の発生源となるスギ人工林を約2割減少させる
ことが目標に掲げられています。
さらに、林野庁HPへのリンクがあり、
「花粉発生源スギ人工林減少推進計画」(略称:スギ伐採加速化計画)
なるものがすでに策定・発表されていて、驚きました。
花粉を発生させるのは20年生を超えるスギ人工林なのだそうで、
その面積は約431万ha存在するようです。
このスギ人工林を10年後には2割減、30年後には5割減にする
というのが目標のようです。
次に、林野庁の「樹種別齢級別蓄積(平成29年3月31日現在)」を見ますと、
20年生以上の人工林スギの蓄積量は46,225千?のようですから、
これを2割減少させようとすると、単純計算で9,245千?となります。
10年平均すると、924.5千?となります。
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/genkyou/h29/attach/pdf/5-39.pdf/
こちらに加えて、スギも毎年歳を取りますから、
1年後には19年生のスギが20年生になって約23,700千?、
2年後には18年生のスギが20年生になって約28,700千?、
・・・と産出されることになり、
毎年約25,000千?のスギを利活用しなければいけないことになります。
さて、25,000千?とは、どれだけの量なのでしょうか?
農林水産省HPによると、平均的な住宅(120平方メートル)であれば、
1戸当たりの木材使用量は約24?だそうです。
すると、なんと「約100万棟」分になります(驚)!
2022年の新築住宅着工戸数のうち、持ち家と戸建分譲を合計して
約50万棟ですから、全ての戸建住宅を木造建築にした上で、
現在の2倍のペースで、建て続けなければならない計算になります。
都市化が進行し、空き家が問題になっている日本にとって、
これは現実的ではありません。
これから私たちは「目につくもの全て、スギに置き換えられないか?」
と真剣に考えなければいけない時代がやってくることになります。
「花粉症は我がごと、スギは他人事」とはいきません。
近日中に発表される花粉症対策に注目しましょう。
※上記は素人の大雑把な計算です。ご了承ください。
ご専門の方々、ぜひ正確な見解を教えてくださいませ。
編集後記
私が生まれた岩手の実家では、目の前にスギの山が当たり前のように
ありました。冬はそのスギ山でスキーをして遊びました。
実家も、元大工の父親が、スギを使って日曜大工で増築する姿を
毎週毎週、隣でじっと観察していました。
おかげで、花粉への抵抗力がついているのだと信じています!
私が花粉症になった暁には、大いに笑ってやってください(笑)
そのときは、春の季節は「避粉地」に逃亡しようと思います!
それでは、次回もお楽しみに!
田中 裕也