シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

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2023.5.31号 VOL.187
久しぶりの命の実感

こんにちは。株式会社シンカの横田と申します。

先日まで広島で開催されていたG7サミットは、衝撃的な出来事が続きました。
各国の首脳が一堂に会しての原爆資料館の見学だけでも歴史的価値があったといえますが、
ウクライナのゼレンスキー大統領の来日がまさに衝撃的でした。

戦時中の大統領が各国の首脳と対面することは、
対ロシアへの抗戦姿勢を示すアピールになったといえます。
またゼレンスキー大統領が正装することなくラフな服装で現れたことも、
戦争中という事実を各国に自覚させる手段となっておりました。

オンラインでの参加でも可能だったはずのところを、サミット最終日に来日したというこの事実は、
だんだんとコロナを乗り越えていく国際社会の中で
改めて対面で接することが与えるインパクトを我々に示唆することとなりました。
当たり前に浸透してきたオンラインの便利さ・合理性と、
直接会って対面で話すことの影響力を
折り合いをつけながら使っていくことがこれからのスタンダードな社会になってきています。

今回はそんなことを改めて自覚した機会があったので、お話いたします。
それでは、『 真価と進化 2023.5.31号』、最後までお付き合いください。


久しぶりの命の実感


先日、友人がふるさと納税返礼品でキハダマグロ1匹をもらったとのことでしたので、
一緒にマグロを解体しました。

3-4kg級で際立って大きくはないものの、初めてマグロを捌くということで、
包丁を入れるのに悪戦苦闘しておりました。

調べながら進めましたが、結局は同じ魚なのでサバなどと大きくは変わらず、
3枚おろしとサク取りを無事完成させました。

終えてみて、ふと魚をしばらく捌いていなかったなと思い返しました。
一人暮らしを始めてから鮮魚とは縁遠かったのもありますが、
実家暮らしのころも丸々1匹を捌くことはなく、
スーパーで切り身や下処理の済んだものを購入するばかりでした。
せいぜい釣りに行った時に捌いたのみで、ここ5年で2-3回程度でした。

解体の様子を、イギリス留学中の友人にZoomをつないで見せていたのですが、
思った以上に血があふれていることに驚いている様子でした。

友人は留学中の大学院でビーガンの同級生と交流があり、日本にいた頃より気にすることが多くなったとのことでした。
曰く、イギリスではビーガンフードがコンビニやレストランに当たり前にあり、
ビーガンの学生も周りに数人いるのは当たり前だとのこと。
日常に溶け込みすぎていてつい忘れがちだが、
例えば魚市場を通るとビーガンの友人が気分を悪くしたり、
持ち寄りパーティーで生ハムとチーズを持っていったらその友人だけ食べられなかったりと、
改めて気にしなければ、と思い直したとのことでした。

食に困らず、食べるものを選べる贅沢さや簡単にすぐ食べられるものばかりがそろう便利な世の中で、
つい忘れがちな命を奪うことの実感。
久々に魚をさばいて感じましたが、これは毎日便利なものばかりに触れていると実感が難しいものです。
自分も一人暮らしの中で自分の快適さに最適化された生活を送る中で、
つい便利さばかりでこの実感ができていなかったと思い当たりました。

忙しい現代社会で便利なものを利用するのは決して悪ではなく、
空き時間を注ぎ込んでテクノロジーの発展につなげてきました。
ですがたまには手ずから命の重さを実感しなければ、
豊かで健全な心は生まれないなと、改めて実感する機会になりました。


編集後記


中トロを寿司に、中落を軍艦に、血合いをニンニク炒めに、赤身を胡麻醤油漬けにしましたが、
頭に最後まで包丁が入らず、結局断念しました。
全身が食べられるともいえるマグロは、頬肉やかま焼き、
骨を使ったあら汁も絶品とのことだったので、
食べられなかった悔しさと、最後まで食べてあげられなかった申し訳なさがありました。

命を実感すればこそ、無駄にせず食べてあげたいという思いがわいてくるものですね。

それでは、次回もお楽しみに!

横田 悟