シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

SHINKA Mail Magazine

← 一覧にもどる
2023.4.26号 VOL.183
燃やすしかないごみ?

こんにちは。株式会社シンカの稲村と申します。

つい先日 新年度が始まったかと思ったら、もうゴールデンウィーク目前ですね。
ゴールデンウィーク中日の5月3日は、憲法記念日以外に何の日であるかご存じでしょうか?
「ご(5)み(3)」と読む語呂合わせから「ごみの日」でもあります。
ごみを減らして地球環境を守ることに目を向ける目的で制定されました。
日本の1年のごみの総排出量は東京ドーム何杯分だとか、
ごみの最終処分場の残容量はあと何年分くらいだとかという報道を聞くと、
自分の力は及ばない途方もなく大きな問題のようにとらえてしまいそうになりますが、
最も身近な社会問題のひとつとして、あらためて考えてみたいと思います。

それでは、『 真価と進化 2023.4.26号』、最後までお付き合いください。



燃やすしかないごみ?


1月下旬、ある記事が目に留まりました。
「燃やすごみ」は「燃やすしかないごみ」に、「埋立(うめた)てごみ」は
「埋立てるしかないごみ」に名称変更。京都府亀岡市で4月から、
ごみの呼び方を変えるというものでした。

同市は、これまで、主に生ごみなどの「燃やすごみ」、プラスチックや缶
といった「資源ごみ」、陶磁器や金属類などの「埋立てごみ」を回収してきたのですが、
実際に「燃やすごみ」の中身を調べると、洗えば資源ごみとして出せる弁当の空き容器や
カップラーメンの容器、古紙として回収できる包装紙などが、重量ベースで
約45%含まれていたとのこと。そこで、どう頑張ってもリサイクル出来ない、
燃やすしかない、埋め立てるしかないことを強調し、捨てる前に一度立ち止まって、
リサイクルできるものは可能な限り分別して資源回収に出そうという
意識喚起・行動変化を狙って考えられた施策がこの名称変更です。

なるほど、強い意志が感じられる呼び方だと感心する反面、呼び方に慣れてしまったら
元の木阿弥になるのではないかとう懸念も生まれました。
そこで、更に検索してみると、同様の名称変更は、2021年から福岡県柳川市で
既に実施されていて、実績が出ているとのこと。
名称変更に加え、「燃やすしかないごみ」「埋立てるしかないごみ」の袋の値段を倍に、
リサイクル資源用の袋の値段を半分にするといった分別を促す為の工夫をした結果、
いわゆる可燃ごみの量は10%減り、プラスチック資源ごみの収集量は2倍以上になったとのこと。
ごみ削減、リサイクル率アップの実績が出ているのですね。

プラスチック資源にするための洗浄の程度ですが、以前もメルマガに書いたことが
あるのですが、頑張りすぎなくて良いようです。
https://www.shinka.com/mailMagazine/ml091.html/

きれいにするために大量の水や洗剤を要する場合は、燃やす(しかない)ごみに出すようにと、
私が住む自治体の「資源とごみの出し方ルール」にも書いてありました。

ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一さん(マシンガンズ)の記事によると、
良かれと思ってリサイクルに出してくれたのだろうけど、「ごみ」で出してくれた方が
ありがたい、「ゴミ」で出してくれないと困るというものは、他にもありました。

・ビニール袋に入ったままのDMやカタログ
 これは簡単にダメと分かりますね。分別しましょう。
・昇華転写紙
 どんな紙かお分りでしょうか?アイロンプリントなどで使う紙で、
 インクが含まれたものです。これが古紙に混入すると、再生紙にした際に
 斑点が出来てしまい、使えなくなってしまうのだそうです。
 アイロンプリントなんてしないし…と思われる方も多いと思いますが、
 これが緩衝材として靴やカバンの中にクシャッと丸めて入れられていることが
 あるそうで、緩衝材の紙を広げて畳んで古紙に出している私はゾッとしました。
 自分が出したものに含まれていなかっただろうかと。
・防水処理がしてある紙
 なんと!アイスクリームのカップやパスタの紙容器など、古紙リサイクルに出していました。

ごみの捨て方のルールは自治体によって異なるので、あらためて確認が必要ですね。
良かれと思ってやっていたことが、実は間違っているかも知れません。

また、家庭ごみだけでなく、事業系ごみのプラスチックのリサイクルが、
もっと推進されるようにしたいですね。古紙回収は積極的にされているのに、
プラスチック資源は、その為の回収箱さえないことが多いのではないでしょうか?
もちろん、本業でプラスチック端材などが出るところでは、回収されているのでしょうけれど、
会社でお弁当のプラ容器を捨てる時などに「家なら洗って資源にできるのに」と思ってしまいます。
逆に、テイクアウトで家に持ち帰った食べ物の容器が紙製の時、ソースがべっとりついて
燃やすしかない状態のそれを見ると「プラ製なら洗って資源に出せるのに」とも思います。
おそらく、お店側は良かれと思って紙製にしているのだと思いますが、
シーン別に是非が異なるという声も、きちんとあげていかないといけませんね。

効率やコストを合わせて考えると一筋縄ではいかない問題ですが、自治体や企業のSNSに
ジャストアイデアでも投稿してみるといった皆の行動の積み重ねで、良い方法が
見つかるかも知れません。どうせ自分一人が言ったところで…などと思わずに
行動していきましょう。

<参考>
・日テレNEWS 【自治体の狙いは?】「可燃ごみ」から「燃やすしかないごみ」 名称変更
https://youtu.be/GgRMCIVicGM

・滝沢秀一 (マシンガンズ)著 『やっぱり、このゴミは収集できません ~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと』
https://www.byakuya-shobo.co.jp/book/b10025302.html/



編集後記


プラスチックごみリサイクルの取り組みの中で、ケミカル油化という方法が
注目されています。小型の装置で出来るので、学校で出前授業をすることもあるそうで、
それを見る事が出来る子供たちがなんとも羨ましい。
どのようにしてリサイクルされるのか、または最終処分されるのか、
実際に見ると、自分がこうすればもっと良くなるという想像がしやすいですね。

手軽に見られる動画でも良いのですが、臭いや熱なども感じられた方が
より実感できるでしょうね。大人1人でも清掃工場の個人見学会を
受け付けているようなので、申し込んでみたいと思います。

それでは、次回もお楽しみに!

稲村 祥子