2023.1.25号 VOL.170
季節の移ろいを感じる暦 『 真価と進化 2023.1.25号 』
こんにちは。株式会社シンカの分部と申します。
10年に一度の強烈寒波の襲来に、日本全国で凍結防止、防雪など、
さまざま事前対策が講じられていることと思います。
光熱費の値上がりも現実となりましたが、暖房を切ることもできず苦しいところです。
寒さは身体に悪影響という話も聞きますので、
できるだけ無駄をへらしながらも、我慢しすぎることのないように過ごしましょう。
それでは、『 真価と進化 2023.1.25号』、最後までお付き合いください。
季節の移ろいを感じる暦
先日、1月22日(日)は旧正月でした。
旧正月とは、旧暦における元日(1月1日)のことですが、
ここ10年くらいの間に、中国人がたくさん日本に訪れて爆買いする時期、
というイメージがついたように思います。
「旧暦」のことを知ると、一年間の季節の移ろいを感じながら、
自然とともに生活をしてきた様子の一端を感じられて、
美しい世界観だなと改めて感じさせられます。
私たちがつかっている暦「新暦」は、太陽の運行をもとにした「太陽暦」。
地球が太陽を一回りする周期を1年としていることから、
暦と季節の巡りが調和しているということになります。
実はいまの暦になったのは、たった150年ほど前の明治時代で、
欧米との統一化をはかる目的だったようです。
それまでは、月の満ち欠けと太陽の運行を組み合わせた「太陰太陽暦」を使っていました。
1ヶ月を月の満ち欠けの周期に合わせるため、
1日=新月 → 8日=上弦の月 → 15日=満月 → 23日=下弦の月 → 新月に戻る
という感じで、周期が約29.5日なので、30日と29日の長さの月をつくって調整していたそうです。
30日の月を「大の月」、29日の月を「小の月」と呼んでいました。
一方で、地球が太陽をまわる周期が異なるために、
この大小の月の繰り返しでは、次第に暦と季節が合わなくなっていくという不便が生じます。
そのため、2~3年に一度、「うるう月」を設け、13ヶ月ある年をつくることで、
季節と暦がずれ続けることのないように調整されています。
いまなら、定期的に13ヶ月の一年があるなんて想像もつきません。面倒なことがたくさんありそうです・・・
具体的には、毎年、季節より11日ずつ先に進み、
そしてほぼ3年目のうるう月によって20日遅くなることで結果調整されるという具合です。
しかしながら、暦の日付と季節のずれが農作業など日々の生活に影響してしまうことになります。
そこで、正しい季節をとらえる基準として、「二十四節季」が用いられていました。
1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれを6つに分けたもので、
いまでも季節を表す言葉として用いられていますね。
春:立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨
夏:立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑
秋:立秋・処暑・白露・秋分・寒露・霜降
冬:立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒
そして、これをさらに約5日毎にわけた「七十二候」がありました。
(例)夏「立夏」の頃
・5月5日頃:「蛙始鳴(かわずはじめてなく)」
蛙が鳴き始める頃。水田の中をスイスイ泳ぎ、活発に活動を始めます。
・5月10日頃:「蚯蚓出(みみずいずる)」
みみずが地上に出てくる頃。畑土をほぐしてくれるみみずは、動き始めるのが少し遅めです。
・5月15日頃:「竹笋生(たけのこしょうず)」
たけのこが出てくる頃。たけのこは成長が早く、一晩でひと節伸びると言われています。
気象の動きや動植物の変化を知らせる言葉によって、
きめ細やかな季節の移ろいを日々感じとっていたのかなと想像ができますね。
72種類もあったら覚えるのが大変そうですが、
当時は必要性があったからこそ根付いていたのでしょうね。
数字だけが書かれた机の上のカレンダーを目にすると、羨ましい気持ちになります。
自然を想う豊かな心を忘れずに過ごしたいですね。
<ちょっと一息!休憩時間にお楽しみください>
■大小暦クイズ:
https://www.ndl.go.jp/koyomi/quiz/level1.html
毎年、大小の月の並びが変わってしまう旧暦では、
月の並びやうるう月を知ることは、人々にとって、とても大事だったそうです。
月末の支払いや代金取立てには必須情報ですからね!
江戸時代、大の月、小の月の並べ方だけを示す「大小暦」が流行っていたそうです。
とてもユニークで、遊び心たっぷり。
江戸時代に暮らしていた方たちが楽しんでいた様子を感じ取ることができます。
一見では、これが年間カレンダーとは思えません。笑
あなたはこのカレンダー読みとれますか!?
※参考:
日本の暦(国立国会図書館)
https://www.ndl.go.jp/koyomi/index.html
暮らし歳時記
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shinrekitokyureki/
編集後記
暦は中国から朝鮮半島を通じで日本に伝わったそうです。
最初に日本でつくられた暦は、飛鳥時代604年!
1500年もの歴史があるのがすごいですね。
天文、占いなどをつかさどる役所が暦をつくっていたそうで、
現代にも残っている、日の吉凶を表す、
六曜(先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口)のルーツなんだなぁと
長い歴史にロマンを感じた次第です。
20年以上かけて日本独自の太陰暦をつくった
天文暦学者・渋川春海の姿を描いた作品「天地明察」、
知り合いに紹介してもらったので、今度読んでみたいと思います。
それでは、次回もお楽しみに!
分部 理恵