シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

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2022.11.30号 VOL.164
正社員の時給化 『 真価と進化 2022.11.30号 』

 こんにちは。株式会社シンカ代表の田中です。

 先日、ワーケーションモニター参加者の受入れを弊社の宿泊施設で行いました。
はっきり言って、「ワーケーションブームは終わった」と私は思っています。

 私の肌感では、日常的にワーケーションをする人は5%ほどしか
存在していないと思いますし、興味がある人でも、できない人が大半で、
仕事の効率を考えるとオフィスで仕事をした方が効率がいいと判断した人が
多いのではないかと思います。

観光庁のレポートを見ても、それが見て取れます。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001477419.pdf


 そこでふと思いついたキーワードが、「正社員の時給化」です。
なんのことやら?

 それでは、『 真価と進化 2022.11.30号』、最後までお付き合いください。



正社員の時給化


 ワーケーションが普及しない、副業・兼業が広まらない、
リモートワーカーは活用しづらい、介護離職者が増えてきている・・・
その解決策は、「正社員の時給化」にあると思います。

 最近、弊社ではリモートワーカーを積極的に採用していて、
これが、最高にうまくいっています。
個人的に、日本に残された最後の人材フロンティアではないかと思います。
例えば、私のアシスタントは、某世界的大手コンサルティングファームの
コンサルタントだった方。
こちらが使っていただくくらいの能力差です(笑)

 面接の際に、どうして弊社のような小さな会社の求人に
応募してくれたのか、質問してみました。すると意外な答えが。

「出社あり、フルタイム、内職的業務、最低時給近くの求人ばかりで、
フルリモートOK、週数時間OKで、頭を使う仕事で、時給が高い求人は
他にほとんどなかったからです。」

 もう世の中は、副業・兼業ワーカーがたくさんいて、
その人材の奪い合いも熾烈になっていると思い込んでいましたが、
対応できている企業が多くないということです。

 人口減少社会において、女性・シニアが働くこと、
その待遇差を改善するのは当然のこと、さらには人手が不足する領域、
子育て・介護・物流・清掃・旅館・飲食・サービス・IT・農林水産などは
移民を受け入れないとすれば、皆が兼務・兼務で分担していくしかありません。
もちろん、機械・AI・ロボット等に置き換える努力をする
ことは言うまでもありません。しかし、これにも脱炭素の制約があります。

 さて、冒頭に挙げたような課題?も含めて、「正社員の時給化」をすれば、
相当問題が緩和されるのではないかと思います。

 よくよく考えたら、1日8時間労働でなく、今日は4時間、明日は12時間では
「いけない」理由はどこにあるでしょうか?

 今日たまたま4時間で仕事が終わる社員を、残り4時間会社に張り付ける
「無駄」を国が企業に強いていることが、人手不足が解消せず、
リスキリングを行う余裕もなく、賃金が上がらない原因なのではないでしょうか?

 人材を「頭数」単位で捉えるのではなく、「時間」単位で捉えられるよう
変えていくことが、複数の役割が果たせて、自由で、多様で、幸福で、
人生100年時代に長く社会貢献し続ける国民たらしめる、
最大のカギなのではないでしょうか。

 岸田総理も「労働移動の円滑化」の方針を表明しました。
動機は違うところにあると思われますが・・・期待したいと思います。


編集後記


 イーロン・マスク氏がTwitter社の従業員に対して
「出社しなければクビ」「長時間猛烈に働けなければ退職を」
発言をして、随分話題になりました。

 私も気持ちはわかります。どう考えても、作業効率はオフィスで
やるのが一番はかどります。そして、社員同士の協業も、オフィスに
一緒にいた方が早いし、スムーズです。
また、赤字の会社が、ひとまず猛烈に働かなければならない
時期があるのは自然なことです。

 それを乗り越えた先に、何のために事業を行うのか?
自社は何のために存在し続けるのか?社員にどう生きてもらいたいのか?
を見失ってはいけませんね。

 それでは、次回もお楽しみに!

田中 裕也