シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

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2022.9.21号 VOL.154
日本人としての誇りを学ぶ「道」 『 真価と進化 2022.9.21号 』

こんにちは。株式会社シンカの分部と申します。

記録的大型の台風により、被災された皆様には、
謹んでお見舞い申し上げますと共に、
皆様の安全と、一刻も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

今回は、個人として長年続けてきた習い事について振り返ってみました。
自身の中で整理したことで、改めて長く続けてきてよかったと感じています。
皆様にとって、少しでも感じていただけるところがあれば嬉しい限りです。

それでは、『 真価と進化 2022.9.21号』、最後までお付き合いください。



日本人としての誇りを学ぶ「道」


「華道」「いけばな」と聞くと、どのような印象をお持ちでしょうか?
敷居が高い、女性の趣味、高尚で縁遠いイメージ、などが多そうですね。

はからずもお花をプレゼントされ、
とりあえず家にある花瓶にさしてみたけれど、
あまり思ったイメージでうまく飾れなかったり、すぐに枯れてしまったりして、
その瞬間だけ、もう少し上手にお花を扱えたらいいのに、
と思ったご経験は、少なからず1度はあるのではないかなと思います。

私自身も、10代の頃はまったく関心がなく、
枯れることが悲しい上に、手間がかかり、面倒だなと思っており、
むしろ、造花を好んで部屋に飾っているような子供でした。

華道を学び始めたきっかけは、母が他界した際、部屋いっぱいのお花をさわる時間が、
自身や家族の悲しい心を癒してくれることに気づいたことでした。
そこから早16年。
まさかこんなに、いけばなを続けられるとは思っていませんでした。


「華道」の「道」とは「求道」、精神的な高みを目指す過程を意味しています。
室町時代に登場した伝書(花伝書)では、挿花(そうか)という、
自然を再構成する営みを通して、自然と人間との関係を自覚するという思想が記されており、
挿花は「さとり」と結び付けられて考えられてきたそうです。
いわゆるフラワーアレンジメントと異なるのは、その目的が作品制作のみならず、
挿花の過程に重点が置かれている点であり、
さらに、その後、求道的な要素だけではなく、神道や仏教につながる宗教性、
部屋を飾ることを目的とする装飾性、自己表現を主とする芸術性など、
多様な要素がいまの華道という文化に内在し、時代とともに変化してきています。

始めたころはこのような背景を知る由もなかったわけですが、
それなりの年数を学び続けてきて改めて実感しているのは、以下です。

・渋谷の教室の中で感じられる四季の移ろい
・1本の生きている枝・花・葉と向き合う尊さ
・同じ種類の花材であっても二度と同じものを手にすることはない一期一会の出会い
・器(盤)に自然の景色(山・水際・光・風)を再現することの奥深さ


野にある草木を自然から切り離し、その草木が朽ちるまでの時間を感じ取ることによって、
自然の移ろいや命のはかなさを知ることが華道における自然観であり、
生きている草木と人の一生を重ねることで、生命と向き合い慈しむ心が育まれ、
その草木を育む自然を大切にしようとする気持ちが生まれることが華道における精神性です。
そのような感性や心によって、「自然で素朴な姿」に、
技術を超えた「品格」がいけばなとして表現されるのです。

命あるもの、時間とともに変化するものだからこそ、
一瞬一瞬が尊く美しいのだと思います。


華道の先生方の高齢化や会員数減少、伝統的な花材や道具類の継承問題等、
華道の次世代継承には、課題が多くある状況です。
文化継承のために、というのを目的とすると二の足を踏んでしまいそうになりますが、
日本人の誇りとして、大切にしたい文化・精神性だと改めて感じます。

参考:
令和2年度「生活文化調査研究事業(華道) 」報告書(文化庁 地域文化創生本部事務局)
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/seikatsubunka_chosa/pdf/93014801_04.pdf



編集後記


いけばなは、自身の決断力とも向き合う苦しさがあります。

・フラワーアレンジメントは、「増やす」
・いけばなは、「減らす」

フラワーアレンジメントは、隙間をお花で埋めていく作業を繰り返します。
いけばなは、極限まで無駄をはぶき、最も表現したいものだけを残します。
表現したいものとは何なのか?何を伝えたいのか?
切ってしまったら後には戻れない!決断力が求められます。
1本の枝と向き合っていたら、気づいたら1時間たってた、ということも。笑

いけばなにご興味ある方は、ぜひお問い合わせください。
(シンカの事業とは無関係です笑)

それでは、次回もお楽しみに!

分部 理恵