2022.2.16号 VOL.125
Z世代の選択と集中
こんにちは。株式会社シンカの横田と申します。
連日日本人選手の活躍が報じられる北京オリンピックですが、
今月7日に行われたノルディックスキージャンプ混合団体では、
高梨沙羅選手がスーツの規定違反によって、まさかの1回目ジャンプの失格。
2回目のジャンプは見事成功させましたが、日本は惜しくも4位とメダルには届きませんでした。
本競技では他4選手が相次いで同理由で失格となる波乱の展開となっており、
また高梨選手がジャンプ後憔悴しきった姿だったこともあり、
各メディアでは同情の声が多い印象でした。
生中継を観戦していた私からすれば、失格以降の日本人選手の活躍は目を見張るもので、
特に小林陵侑選手は一時チームをメダル圏内に押し上げる大ジャンプを飛び、
その健闘にいたく感動しておりました。
ですが一晩経った8日、高梨選手は自身のInstagramを更新し、失格への謝罪文を投稿。
私はいったい彼女が誰に対して何を謝罪しているのか全く分かりませんでした。
彼女が抱えてきた期待の重さとそれを裏切ってしまった罪悪感、
そして国民という広範な対象のうち、ごく一部の漠然とした者からの批判の声への傷心、
国民的アスリートの苦悩を垣間見た出来事でした。
今回はそんな国民という全体のうち、Z世代の消費行動についてお話いたします。
それでは、『 真価と進化 2022.2.16号』、最後までお付き合いください。
Z世代の選択と集中
入社してから一年半関わってきた業務を先日引き継いでいると、
改めて「なぜこの作業をおこなっているのか」「なぜこの手順なのか」を
考えさせられました。
細かいステップそれぞれに意味はあり、いざ立ち止まって考えれば思い出せるけれど、
毎日の仕事をするときにはその忙しさにかまけて思い出さないことがしばしばあったと思いました。
その時集中するべき別の仕事のために、思考や時間でのリソースを節約していたのです。
こうした選択と集中について、自分がただ考え無精・手間無精なだけではないかと思っていたのですが、
ネット記事をみているとZ世代に通底する価値観なのかもしれないと感じました。
Z世代の定義は様々ですが、1990年代半ば~2000年代生まれの世代とされ、
ITバブルの崩壊やリーマンショック、東日本大震災など、
親世代の雇用の不安や不況、不安定な社会情勢を経験しています。
よって経済面では基本的に保守的で、生活を重視するリアリストの傾向があるといえます。
その一方で幼いころからインターネットに触れ、SNSにも親しみがあり
世界中の様々な情報から多様な価値観に触れ、自分の意思の発信を自然に行うことができます。
消費行動も上記の背景から、資産形成や節約を念頭に、自分にメリットが多くなるよう
ネットの多すぎる情報をできるだけ早く・数多く検討して意思決定を行います。
特に消費行動に顕著なのが、若者に流行しているYoutubeなどの動画コンテンツです。
コンテンツが過剰で自身が好きな作品は見つけられるけれども、
SNSなどで「見知らぬだれか」とつながるための共通の話題の作品の数も多いため、
自分が好きなものは等速、そうでないものは倍速で視聴し時間を節約しているようです。
この記事を拝見したとき、私はまさしく自分の行動だと感じました。
好きなアニメやスポーツ観戦は等速やリアルタイム視聴だけれども、
流行しているアニメやドラマは倍速やオンデマンド配信視聴で済ませていました。
プライベートでも上記のような選択と集中を行っているからこそ、
仕事でも当然のように上記の発想で行動をしていました。
株式会社SHIBUYA109エンタテイメント エキスパート/SHIBUYA109 lab. 所長 長田 麻衣氏は
Z世代の消費行動の特徴として、下記4つをあげていました。
1. 体験消費・参加型消費、2. 間違えたくない消費、3. メリハリ消費、4. 応援消費・親近感消費
周りと合わせることには時間とお金を節約し、自分が価値を感じるものを追求したい。
ただしやはりお金と時間に限りがあるので、間違えないよう情報をたくさん集めて選びたい。
自分自身が何に価値を置いているのか、どう生きるのかが極めて重要になってくる時代だと改めて感じました。
▼Z世代とは? その価値観や消費行動と、SDGsへの影響力|SDGsにまつわる重要キーワード解説
https://sdgs.kodansha.co.jp/news/knowledge/39069/
▼Z世代のリアルな4つの価値観 5年後のマーケティング戦略を立てるために必要なコト
https://webtan.impress.co.jp/e/2021/09/09/41056
▼「推しは等速、他は倍速」 23歳記者から見た“Z世代”の動画視聴
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2106/29/news041.html
編集後記
SNSが生まれたころから身近で数多くの炎上の事例を知っているからこそ、
批判されそうなことには敏感になり、リスクを回避するという傾向もあります。
高梨選手の謝罪文も、本人の罪悪感ゆえの投稿が主だと思いますが、
批判への恐れが大きかったための投稿だったのかなと思いました。
高梨選手もZ世代の若者なのだと、自分との共通点を見つけて少し親近感がわきました。
それでは、次回もお楽しみに!
横田 悟