2021.10.27号 VOL.110
時間と場所の使い方の変化
こんにちは。株式会社シンカの稲村と申します。
この月曜日で首都圏や大阪の飲食店への時短や酒類提供等に関する要請が
解除されましたね。通常営業に戻るのは実に11ヵ月ぶりとのこと。
飲食店側にとっても利用者側にとっても、待ちに待ったこの時!と思われますが。
みんながみんな「よっしゃ、夜の街に繰り出そう」という訳でもないようです。
かつては頻繁に飲みに出歩いていた人であっても。
beforeコロナとは時間や場所の使い方や意識が変わってきたように思えます。
今回は、そんな変化を(私の)身近な題材に絡めて綴っていきます。
それでは、『 真価と進化 2021.10.27号』、最後までお付き合いください。
時間と場所の使い方の変化
10/25(月)の夜間の人手を 前の1週間のそれと比較したデータは
地域によって増減にバラつきがあったそうです。
新宿や渋谷では4%~13%増加しています。千葉駅付近では32%も。
といってもコロナ前の人手までにはまだまだです。
そしてなんと、銀座や六本木では4%~11%減少したということです。
コロナ禍で お家時間が長くなり、お酒の飲み方(時間や場所)が変わったと言われています。
家呑みを充実させるためにこだわりの調理器具や食器を揃えたのでそれを活用したい
帰宅してお風呂に入ってから部屋着でくつろぎながら呑むのが楽
馴染みのお店のテイクアウトメニューを持ち帰ってみたら、家族に好評で定番になった
行き場を失った高級食材を安値でゲットできた
等々、家呑みにシフトした理由にはポジティブなものが様々あると思います。
私は、創作居酒屋風の和食器を買い増して楽しんでいます。
ネガティブな理由としては、収入が減って外で飲めなくなったとか、
飲み会も仕事と家族に言っていたが、それがなくても仕事は出来るということが
バレてしまったからといったものもあるかも知れません。
しかしこれは従前の習慣がガラッとひっくり返ったということではなく、
beforeコロナでも薄っすらそう思っていた事や志向が、現れやすくなったように思えます。
テレワークをはじめとする働き方改革がコロナによって加速したことに似ていますね。
テレワークと言えば、それにより家事に割く時間に余裕が出た人と逆の人がいるようです。
通勤時間が無くなった分、丁寧な暮らしを実践するようになった人がいます。
手作り味噌を作ったり、漬物を漬け始めたり、土鍋でご飯を炊いたり。
少し不便ともいえる昔風のやり方は、生きている事をより実感でき、
体が求めることをしてあげている感じがして、ハマる人はドハマリするようです。
片や家族全員がテレワークやリモート授業となった家庭では、家事が増えてしまったようです。
日中のお子さんの世話や、ランチの用意が必要になったり、掃除の頻度が増えたり。
すると、家事の効率化を超えた「やめ家事」という言葉が聞かれるようになりました。
ここでの「やめる」は、順番や場所を変えたり、タスクではなくアクティビティとして
楽しんでしまうことも含まれます。食事を作る過程を楽しむ手巻き寿司や鍋のように。
家で長時間一緒にいることで家事の大変さが家族に理解され、
必要というよりは「べき論」で縛られてやっていた家事などは、やめられる良い契機です。
浮いた時間を家族との団欒に充てたり、趣味等に充てて笑顔が増えれば罪悪感を感じることもないでしょう。
丁寧化も簡素化も、ベースはbeforeコロナからの志向や欲求だと思えます。
最後に、私らしい題材での時間と場所の変化を挙げると、朝ドラの観方が変わりました。
(あっ、あのテレビ好きの人ねと認知いただけていたら光栄です)
今週末で最終回を迎える『おかえりモネ』は、ドラマに流れている空気感が
これまでの朝ドラに多くあったものとは違います。
ヒロインは、明るく・ポジティブ・破天荒といった定番の痛快なキャラクターではありません。
大きな声で笑ったり泣いたりせず、台詞の少ない芝居で魅せる場面が多くあります。
伏線も巧妙に張り巡らされています。
朝ドラを時計代わりに家事や身支度をしている方には馴染みにくいスタイルかも知れません。
それもあって、私の周りの友人や従妹達は、割と序盤に見るのやめてしまいました。
元々録画して夜に観ていた私にとっては、物語についていけないといった支障は無かったのですが、
「このシーンのキュンや熱や突っ込み処を共有したい」という欲求を満たすことが出来ません。
『あさイチ』の朝ドラ受を頼みの綱にしておりましたが、オリパラ・甲子園で、
それも無い期間があり、遅ればせながらネットの声にそれを求めることにしました。
そうすると、その回を観る前にネットニュースが目に入ってしまうという支障が出てきました。
スポーツ中継を録画している時によく起きるアレです。早い時間に観る方法が必要です。
そこで私は、スマホで通勤時間中に観るという方法をとることにしました。
時差出勤のおかげで座れる電車は、私にとっては 出掛ける前の家よりもドラマを集中して観ることに適していました。
これでランチタイムに見るネットニュースにも対応できます。
世の中的にも番組を時間や場所に縛られずに観ることが進んでいます。
それがあっての、朝のながら視聴を意識しない今回の朝ドラだったのかも知れません。
皮肉にもコロナによって、飲みかた、家事、観かたetc.で時間や場所の選択の幅が広がり、
浮き彫りになった多様な志向や欲求が容認される雰囲気になったと感じます。
今後、第6波が来る可能性もあり、まだ予断を許さない状況ですが、
afterコロナは、さあどうする?という話題がそこここで出るようになりました。
大変な事、悲しい事もありましたが、前向きな変化に転換していければと思います。
編集後記
このメルマガが配信されている頃には、朝ドラ『おかえりモネ』は最終回まで2話となっています。
まだまだ立ったままのフラグが沢山ありますが、これまで見事な伏線回収をしてきた本作、
どう収めてくれるか見ものです。
そして個人的には、次回作でも通勤時での視聴スタイルは続くのか…。
そろそろニュースをチェックする時間に戻した方が良いのではとも思いつつ。
最適な時間と場所の使い方を都度アップデートしていきたいと思います。
それでは、次回もお楽しみに!
稲村 祥子