シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

SHINKA Mail Magazine

← 一覧にもどる
2021.9.29号 VOL.106
なぜミスをしないほうがいいのか

こんにちは。株式会社シンカの横田と申します。

2021年度もいよいよ半年が経過しようとしています。
この半年は東京オリンピック・パラリンピックが開催された一方、
東京は緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が発令されていない日が
4月のわずか11日間のみと、以前の非日常が日常になっています。

執筆時点では検討段階ですが、東京は10月から宣言・重点措置ともに解除で
調整されています。
予断を許さない状況は続くものの、行動制限等の緩和で、
以前の日常が戻ってくるかもしれません。

昨年度のように解除後の感染拡大を起こさないよう、慎重な検討が必要になってきます。
解除が失策とならないことを願っています。

今回は日常でよく出会う失策・失敗である、ミスについてお話いたします。

それでは、『真価と進化 2021.9.29号』、最後までお付き合いください。



なぜミスをしないほうがいいのか


「なぜミスをしないほうがいいのか」
皆さんはこの問いについて答えをお持ちでしょうか。
例えば「周りに迷惑をかけてしまうから」、「会社が損をしてしまうから」
といった回答があると思います。
もちろん正答は一つではないですし、上記の回答も正答と言えます。

この問答の最大のポイントは自分に腹落ちしているかだと思っています。
自分なりの回答を持っており、納得しており、行動につながっていることが最も大事なのです。

かくいう私は納得できる回答を持っておりませんでした。
むしろミスをしない意識は委縮を招き挑戦を阻害してしまうため
あまり意識しすぎないようにしようと思っていました。

例えば大学入試センター試験であっても全科目満点は数年に1人いるかで、
簡単なことであってもミスは起こるものとして計画の中に加味されるべきだと思っていました。
そのため犯罪についても過去一度の過ちを糾弾し将来を奪うことは人間という財産の損失だと思うこともありました。

そしてミスは決してなくならないものと思っています。
私はよく上司からミスは仕組みで対処するようアドバイスを受けるのですが、
その際は「これで絶対ミスしないとは言えません」と必ず言っています。
第三者確認や手順の自動化をしたとしても、毎日同様に行動できるわけではない自分がいる以上
減らすことは可能だとしてもミスを0にはできません。

ただなくすことはできないものの、ミスが多いと信用に関わります。
例えば医療過誤や飛行機事故などはひとつのミスが命にかかわります。
被害者の立場からすれば たとえ防ぎようがなかったとしてもミスを責めたくなるものでしょう。
仮にもう一度大切な人の命を預ける機会があったとして、滅多なことがなければ かつてミスした人に
任せることはないでしょう。

ビジネスでもミスが多い企業には仕事を任せなくなります。
エラーが多い野球選手がスタメンで使われなくなるように、仕事が回ってこなくなります。
仮に対策を徹底してミスを生む確率が低下していたとしても、です。
信用貯金という言葉にもあるように、実績があれば多少のミスは貯金を切りくずせば許されるかもしれませんが、
貯金が乏しい人はいくらその後稼げる見込があったとしても取り戻すのは難しくなります。

このようにマクロ視点ではミスを糾弾することは是ではないですが、
ミクロ視点ではミスをした人を厚遇する理由がありません。
ミスした人を冷遇してしまうと、ミスに対してネガティブな印象がつき、
結果的にミス=悪としてステレオタイプ的に処理されてしまいます。
そうなるとミスは委縮を生み、挑戦を阻害してしまうように思います。

ですが反対に、ミスした人を厚遇し、ミスに対してポジティブな印象を抱かせることができれば
ミスの糾弾は防げるのではないかと思われます。
そんなことは可能なのでしょうか。
ミスを歓迎する仕組みを作ることに成功し、
結果的にミスの少ない組織を作ることに成功した企業の事例について、ご興味のある方は
ぜひ『失敗の科学―失敗から学習する組織、学習できない組織』をお読みください。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784799320235

私は上記書籍を読み、ミスを罰しないことが最もミスを防ぐことだと学びました。
ミスを防ぐためには原因に真摯に向き合い、反省を行動に繋げる必要があります。
そのためにはミスの報告を歓迎し、責任を追及しないことが肝心だとありました。
容易に出来る取り組みではありませんが、長期的に見れば最も効果的だと思います。

冒頭の問いに立ち返れば、私は今なら「取り返すことがミスをする意味だから、
原因に向き合うことができない場合ミスはしないほうがいい」と答えます。

自分なりのミスへの向き合い方を考える機会として、
上記書籍をおすすめいたします。


編集後記


今回はできるだけ書評っぽい構成を目指しました。
どちらかというと読書感想文っぽいですね。

そんなことはさておき、おすすめの本を紹介するというのは、
人の価値観に迫れると思うので私は好きです。

在宅ワークが増える中、社内レクリエーションでオンラインビブリオバトルを
開いている会社があると聞いたことがあります。

世代を超えて価値観を共有できる取り組みだなと感心したので、
今度友人とやってみようと思います。
それでは、次回もお楽しみに!

横田 悟