2021.9.1号 VOL.102
意思決定の背中を押すもの
こんにちは。株式会社シンカの菅原と申します。
今年もあと4ヶ月となりました。個人的には2021年のToDoにやり残しがないよう
意識をする時期に差し掛かっており、光陰矢の如しという言葉を噛み締めています。
今回のメールマガジンは個人的な手記のようになってしまいました。
雑文ではありますが、お時間のあるときにご覧いただければと思います。
それでは、『 真価と進化 2021.09.01号』、最後までお付き合いください。
意思決定の背中を押すもの
私は意思決定に苦手意識があります。
特に新卒入社して間もない頃は、判断ができないことだらけで
何一つ考えが前に進まず苦しむことが日に何度もありました。
しかし経験を重ねる中で、情報が不足していることにより判断に悩むことはあれど、
情報を集め、判断軸を整理し意思決定をすることに慣れてきたように感じています。
それでも過去の選択が正しかったのか、引きずることがよくあります。
私事ではありますが、先日母親が還暦を迎え、
実家で還暦祝いをすることになり、このご時世に帰省をしても良いものか
迷いながら実家に帰ることにしました。
結果的には帰って良かったと思ったものの、それが正しいことだったのか
何処か引っかかった感覚がありました。
なぜこういった意思決定を私が難しく感じてしまうのか、もやもやと考えていたのですが、
紐解くヒントがマイケル・サンデル著「これからの『正義』の話をしよう」にありましたので、
簡単にではありますがご紹介させていただきます。
著書によると、正しさを巡る葛藤には多くの場合3つの考え方の衝突があるようです。
・福祉の最大化(最大多数の最大幸福を追求する功利主義的な正しさ)
・自由の尊重(個人の権利を尊重する正しさ)
・美徳の滋養(善き生き方を追求する正しさ)
特に美徳の滋養というのは馴染みがなくわかりづらく感じますが、
例えば儒教の五常(仁、義、礼、智、信)を体現していることが
素晴らしいと感じる心こそが美徳の滋養なのだと思います。
この3つの考え方があることを知ったうえで、どんな葛藤が自分の中にあったのか整理してみました。
・帰省は感染拡大に寄与するリスクがあり、社会全体の利得を損ねる懸念がある
・自分の行動を制限されることに少なからず嫌悪感を感じる
・母親の還暦祝いという節目に花を添えたい
気づいたことが2つあります。
一つ目は正体不明なもやもやを言語化するだけである程度スッキリするということ、
そして二つ目は正しさの軸が3つあるからこそ一義的な正解があるわけではないということです。
損得勘定で計算することは判断をシンプルにすることができますが、
そうすると善き生き方を全うするという道は途絶えてしまう難しさがあります。
正解がないからこそ、重要なことは何が正しいのか思考し続けることです。
少し話が飛躍しますが
資本主義の限界が叫ばれる今、損得勘定だけではなく
個人にも法人にも自身の善き生き方を追求する姿勢が求められています。
自分の理を持ち、それに判断を委ねられるよう、
私自身も思考停止せず日々を過ごしていきたいと思っています。
編集後記
「チ。-地球の運動について-」という漫画をご存知でしょうか。
天動説が主流だった15世紀のヨーロッパを描いたフィクションなのですが、
地球が自転・公転をしているのではないかと気づいてしまった人々が
異端者と扱われる危険性がありながらも自分の美学を貫こうとする描写が何度も登場する点が
非常に面白く読んでいて、胸を打たれてしましました。
興味があればぜひ手に取ってご覧ください。
それでは、次回もお楽しみに!
菅原 隆