2021.6.30号 VOL.94
権力が存在しない組織
こんにちは。株式会社シンカ代表の田中です。
最近、私は権力が存在しない組織の活動に参加することが多く、
自社内では最大の権力を持つ自分自身の存在価値、仕事力、立ち居振る舞い
について勉強になることが多くありましたので、
その気づきをお届けしたいと思います。
オープンイノベーション、ティール組織等と叫ばれて久しいですが、
皆様の活動、組織づくりのヒントになれば幸いです。
それでは、『真価と進化 2021.6.30号』、最後までお付き合いください。
権力が存在しない組織
まずは、最近私が関わっている「権力が存在しない組織」を
いくつかご紹介します。普段の仕事と最も異なるのは、
「自分の鶴の一声が通用しない」ということです(笑)
・旅と学びの協議会
https://ana-conference.com/
・事業承継協会
https://www.shoukei.or.jp/
・地方創生チャレンジクラブ
http://chihou-sousei.info/tihousousei-challenge-club-start/
・eumo
https://eumo.co.jp/
・Alivers
(Aliveにお越しいただいた方限定のコミュニティ)
イメージしていただきやすいように、既存の組織との相違点を
思いつく限り対比で表現してみます。
■既存の組織■ ⇔ ■新しい組織■
・株主、債権者利益重視 ・参加者の存在重視
・目標達成 ・目的達成
・短期視点 ・長期視点
・結果重視 ・プロセス重視
・効率的 ・非効率
・権力者による意思決定 ・参加者の合意形成による意思決定
・権力者による意図的役割分担 ・主体性による自然発生的役割分担
・失敗責任の明確化 ・トライを称賛
・お金による動機づけ ・内発的動機による運営
・指示、命令、報連相 ・連絡、共有、放任
・空気を読む ・空気を読むくらいなら自分でやる
・意図した方向、逆算 ・偶発性を期待、流れのまま
・参加強制 ・不参加を気にしない
リモートワークが当たり前となり、組織は既存の概念を抱えたまま、
新しい組織への転換、新しい組織の要素を取り入れるべく、
多くの組織が変革にチャレンジしていますが、形ばかり変えても、
パラダイムそのものが変化しないとひずみが生じてしまい、
うまくいかないことも多いようです。
どちらがいい悪いについては、賛否あると思いますが、
私自身が感じたことは2つあります。
1つは、「新しい組織の方が、少なくとも参加者は幸せそう」ということです。
2つ目は、「新しい組織であっても、結局リーダーシップをとる存在が必要」
ということです。
ただし、それは権力を集中させた者がいうことをきかせるという意味の
リーダーシップではなく、個々人の興味・意欲・得意技・時間などを活かして、
「自ら役割を作り、全体に貢献する」という意味のリーダーシップ、
つまり、「主体性の発揮」なのです。
新しい組織への転換のためには、主体性と全体への貢献意欲がある人材を
仲間に入れること、共感する魅力的な共通目的を設定すること、
既存の組織の概念と逆のパラダイムで考える訓練を続けることが
大事なのだと思います。
人口減少によって、組織を維持することすら、益々困難になっていきます。
新しい組織に予想されるデメリットに恐怖も覚えますが、
変化適応は必須ですから、ベストな組織運営を模索していきましょう。
編集後記
先週、「日本でいちばん大切にしたい会社」に取り上げられている
高知県にある「ネッツトヨタ南国」さんの視察研修に参加してきました。
まさに「新しい組織」を、なんと40年前から目指して
努力を積み重ねてきたそうです。視察直後ホカホカの私の感想を
Facebookに投稿していましたので、転載させていただきます。
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社員が幸せな会社は、業績が上がる。いや、社員を幸せにするために、
業績を上げなければいけないのだ。
会社は、指示・命令・教えて、報連相を求めてはいけない。
会社は見守る・信頼する・考えさせる。すると社員は自ら考えて行動し反省する。
結果、トップが考えて指示するよりも、従業員達の細部の工夫の
積み重ねによって、誰にも真似できない会社になる。
離職率はたったの1%。
経営者として、その器であれるかどうかが問われると感じた。
これもまた、簡単に真似できることではない。
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「新しい組織」で、事業の持続性を高めることに成功している組織は、
たしかに存在するようです。
本を読んだだけでは本当の凄さはわからないと思いました。
興味がある方は、ぜひ現地へ足を運んで、その目で確かめてみてください。
それでは、次回もお楽しみに!
田中 裕也