2020.10.21号 VOL.61
食物連鎖の果てに
こんにちは。株式会社シンカの分部と申します。
急激に秋の訪れを感じる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、最近個人的に興味をもっているプラスチックごみをテーマにお送りいたします。
本テーマについてお詳しい方もいらっしゃる中で恐縮ですが、
今まであまり意識をされてきていなかった方向けに、
少しでも関心を持っていただけたらとの想いでお届けしたいと思います。
考えるきっかけとなっていただけたら嬉しいです。
それでは、『 真価と進化 2020.10.21号』、最後までお付き合いください。
食物連鎖の果てに
2020年7月からレジ袋有料化がスタートしました。
LINEリサーチの調査(※1)によると、
その後もレジ袋を都度購入してる人の割合は、3割を下回っているそうです。
つまり7割以上の方がレジ袋をもらわずに買い物をするようになりました。
エコバックの利用が一気に普及したり、手持ちでOKとレジ袋を断ったりと、
消費者の意識が一気に変わったなと感じます。
とはいえ、もともとエコバックというものはあったわけで、
なぜこんなにも一気に変わったかといえば、
我々消費者の環境意識が高まったから、いうことではなく、
「お金がかかるから」というシンプルな理由が第一義となっているからだと容易に推測できます。
本質を理解したうえで変化できたとはいえないのが現状です。
と、えらそうに言ってる私も、
頭では、環境配慮は大事だとおもっていても、
便利さ・ラクさには勝てないジレンマに悩んでいる一人です。
「海洋プラスチックごみ問題」や「マイクロプラスチック」については、
社会問題として様々なところで取り上げられていますし、
SDGsとも深く関わっており、皆様もよくご存じの問題と思います。
海岸にプラスチックごみがたくさん浮かんでいる様子や、
海洋生物がプラスチックを食べてしまい命を落とす様子などを
度々耳にすることがあると思います。
私は、問題だと知りつつも、恥ずかしながら、
どこか他人ごとのように思ってしまっていたのですが、
実はもっと自分の身近に迫っている問題としって、非常に驚きました。
東京農工大学農学部環境資源科学科教授の高田秀重氏によると、
マイクロプラスチックとは、大きなプラ破片が5mm以下に削られたものをいい、
海に流れて紫外線や波による劣化で海の中でどんどん削られていくことでできます。
そして海洋中にとけた化学物質を吸着して有害化しているとのこと。
それを魚や貝がえさと間違えて食べ、
そしてそれを人間が食卓で知らずに食べてしまってるのです。
2018年には、ウィーン医科大などのチームによって、日本を含む8カ国の人の便に
微小プラ粒子が含まれているのを確認したとの件がニュースになりました。
人体からは排出されるものの、本当に怖いのは、
添加されている有害化学物質で健康被害がどのくらいでるものなのかが
分かっていないそうです。
長い間プラスチックを使っている私たちは、
自ら人体実験をしているようなものなのかもしれない、
と高田教授はおっしゃっています。
自分はごみを分別して捨てているから大丈夫!
というと残念ながらそんなことはなく、
ポリエステル製のTシャツやフリースなど化学繊維の衣類を洗濯することで、
洗濯くずが下水処理をくぐり抜けてしまうこともあったり、
プラスチック製の洗濯ばさみや、人工芝の足ふきマットなど、
屋外で雨風や紫外線にされされたプラスチックが劣化して
風にのって海にたどり着くこともあるそう。
我々の身近な生活の中に、マイクロプラスチックの発生源となりうるものが無数に存在し、
そしてそれが巡り巡って自分たちの体に入ってくるということが
いま現実に起こってるということです。
日本から排出されるプラスチックのうち、
レジ袋が占める割合はわずか2%ほど。
そして日本は、1人当たりのパッケージ用プラスチックごみの発生量が、
アメリカに次いで世界で2番目に多い国です。
フランスでは2020年1月以降、使い捨てのプラスチック容器を段階的に販売禁止とし、
2040年頃までにはすべてのプラスチック製品の使用廃止を目指すとのことです。
日本国民全体の消費者の意識が本気で変わらなければいけないときなのかもしれません。
※1 LINEリサーチ「レジ袋有料化後、エコバッグは使ってる?」
http://research-platform.line.me/archives/36053318.html
※2 Business Journal
「プラスチック汚染が日本人を蝕む…コンビニ弁当を“レンチン”で化学物質が溶け出し体内に」
https://biz-journal.jp/2019/10/post_122711.html
※3 環境省Plastics Smart プラスチックを取り巻く国内外の状況
https://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-04/y031204-s1r.pdf
編集後記
プラスチックを完全になくすことは本当にとても難しい!
だからこそ、全員が減らす努力をしないと、この状況は変えられないと感じます。
とりあえず、すぐにでもできることをと思い、
無印良品が今年7月からスタートした「自分で詰める水」を使い始めてみました。
■自分で詰める水
https://www.muji.com/jp/ja/stories/food/520171
毎朝、地下鉄の駅の給水所で水をつめて出社しています。
できることからコツコツと。
それでは、次号もお楽しみに!
分部 理恵