2020.09.02号 VOL.54
74歳、インスタデビューしました。
こんにちは。株式会社シンカの武田と申します。
あっという間に、もう9月になりましたね。
ここ数日、雨が降る日もありますが、まだまだ暑い日が続いていますので、
引き続き、熱中症等に気を付けて、猛暑を乗り越えていきましょう。
それでは、『 真価と進化 2020.09.02号』、最後までお付き合いください。
74歳、インスタデビューしました。
突然ですが、みなさんは、TwitterやInstagramなどを使っていますか。
私自身は投稿しないのですが、友達の投稿を見て楽しんでいます。
そんな中、74歳の私の父がInstagramを始めました。
離れて暮らしている私と姉が提案したのですが、まさか本当に始めるとは、
思っていなかったので、家族全員、驚いている状態です。
本日は少し、そんな私の家族のお話にお付き合いいただけますと幸いです。
地方の田舎で、多いときは80名程の従業員を抱える居酒屋を経営していた父。
今ではお店をたたみ、病を患っていることもあり、1日の大半を家の中で
過ごす生活をしています。何かいい刺激にになればと思い、Instagramで
父のアカウントを作成した上で、ipadを父にプレゼントしたのがきっかけでした。
父がインスタ始めて1カ月。ほぼ毎日投稿をしており、投稿するための写真を撮りに
家の外に出かけたり、投稿する俳句を考えたりと、工夫を凝らして、楽しんでいるようなのです。
画像自体に文字を入れるのはどうしたらよいのか、
ストーリーを上げるのにはどうしたらよいか、と質問が届くほどです。
私は、そんな父の投稿が楽しみで、朝の通勤電車で父のインスタをチェックし、
「いいね」押して出社します。ある日、父は、どうにか私のインスタに飛んできて、
3年前に私が投稿した記事に「いいね」を押したのです。
こうして、Instagramを通じた、父との新しいコミュニケーションの形が生まれました。
私は普段全く投稿しないのですが、日々何気ない小さな出来事を
投稿することも親孝行の一つかもしれないなと考えるきっかけになりました。
父との、新しいコミュニケーションの方法を発見し嬉しい気持ちの一方で、
「自分の気持ちは投稿する」「友達の気持ちは投稿で確認する」という、
間接的なコミュニケーションが当たり前の世の中になってしまったら……??
という極端なことを考え、少し怖いなぁと勝手に感じてしまいました。
投稿してる内容は嘘ではありません、むしろ本音に近い部分かもしれない。
けれども、気持ちの全てではないですよね。投稿内容だけで、表面的な理解をして、
相手を理解したつもりになっている、逆に理解してもらったつもりになっている、
ということが起きてしまうかもしれません。
コロナの影響もあり、様々な部分でオンライン化が進み、コミュニケーションにも
多様性を感じるようになりました。Instagramでの父とのコミュニケーションは、
メールや電話とは違った、距離の近さを感じることが出来ました。
(生活感が見えたり、考えを覗くことが出来たからでしょうか?)
コミュニケーションツールが多様化する中、なにか1つに絞るのではなく、それぞれの
メリットを活かしつつ、時と場合によって上手く使い分けていくことが大切なのかもしれません。
これまで父は、インターネットにつながっていませんでした。携帯電話は、持っていても
メールと電話のみ、実家にはPCもないので、ニュースは新聞かテレビで知るという状態です。
74歳、終戦翌年に生まれた父は、様々な日本の変化を見てきているのだと思います。
自ら簡単に多くの情報を取れるようになったこと、SNSで簡単に自分の気持ちを
発信できるようになったこと、そんな世の中を父は、
どのように感じているのか、私はとっても気になります。
ただ、LINEやメール、電話で聞いたとしても、きっと私は物足りず、
直接会って話すことで本音を聞き出すことが出来るのではないかと思っています。
コロナの影響で当分、実家には帰れなそうですが、
帰った際には、ぜひ、今の気持ちを父に聞いてみたいと思います。
編集後記
父はこれまで、趣味で、俳句やメッセージ性のある言葉を書いて、
気に入ったものがあれば、家の中に飾っていました。インスタでも、
俳句やメッセージを投稿しています。投稿は父にとって作品なのだと思います。
その作品に対して、私や姉だけでなく、私の友人や、会ったこともない方が
「いいね」を押してくれるのです。社会との繋がりが少なくなっていた父にとって、
Instagramは社会と繋がる重要なツールなったのかもしれません。
社会との繋がりが、楽しみに繋がり、日々の行動が変わっていくことを
まざまざと実感した出来事でした。
「社会との繋がりが寿命を長くする」という研究結果も出ているようです。
今を楽しく長生きしていってほしいです!
それでは、次号もお楽しみに!
武田 圭