2020.07.01号 VOL.45
エコバッグは本当に「エコ」なのか?
こんにちは。株式会社シンカの菅原と申します。
あいにくの天気が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、本日より始まった「レジ袋有料化」を題材に、
持続可能な社会を実現するために私達に求められる行動習慣について
考えてみようと思います。
それでは、『 真価と進化 2020.07.01号』、最後までお付き合いください。
エコバッグは本当に「エコ」なのか?
2020年7月1日より、小売店でのプラスチック製買い物袋の有料化が義務づけられました。
今回この題材を選んだきっかけは、
TwitterやFacebook等でレジ袋有料化の効用に懐疑的な意見を多く目にしたことでした。
SNSを見たところ、意見は大きく下記の2つの観点に集約できそうです。
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・有料化によってポリ袋が削減されても、漂着ゴミの減少効果は見込めない。
なぜなら、ポリ袋が海洋プラごみに占める割合は、容量ベースで0.3%と非常に少ないからである。
・ポリ袋が減ることによるCO2削減効果はない。
そもそもポリ袋は非常に薄く、他の素材と比較して製造・輸送の観点から環境負荷が小さい。
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2点ともに、科学的根拠に基づいた意見であり、納得する部分が多くあります。
ここでは、特にCO2削減効果について具体的に考えてみたいと思います。
このような議論の際に用いられる、長期にわたる環境への影響を測定する方法のひとつに、
「ライフサイクル・アセスメント」と呼ばれるものがあります。
ひとつの製品が、その寿命を終えるまでの環境負荷を評価するものです。
一般社団法人 プラスチック循環利用協会(*1)によると、
CO2排出量をポリ袋よりも少なくするには、
ポリエステルのマイバッグを50回以上使う必要があるそうです。
※英国環境庁の調査(*2)では、コットンのマイバッグだと133回以上という結果も出ています。
しかもこれは、レジ袋を再利用しないという前提での数字であり、
例えばゴミ袋としても利用する場合は2倍の回数が基準となります。
これが多いか少ないかはエコバッグの耐久度や利用頻度によって異なりますが、
エコバッグの活用と「エコ」を単純に結びつけてはいけないということがわかります。
では、本日より始まる「レジ袋有料化」の目的とは何なのでしょうか。
経済産業省のプラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン(*3)によると、
制度の目的は「『レジ袋有料化義務化』を通じて消費者のライフスタイル変革を促す」
こととあります。
この目的が周知されないままに議論されていることが多くあるように感じますが、
まさにこの「消費者のライフスタイル変革」が重要なのだと思います。
この制度に意味がないと断定し、思考を止めてしまうのではなく、
環境負荷について考える行動習慣を身につけることが私達には必要なのではないでしょうか。
影響の大小を疑問視する意見もあるかと思いますが、
そもそも、私達それぞれの生産・消費活動の集約が
今起きている、あらゆる環境問題の原因になっていることは確かです。
だからこそ、意識改革が環境問題の根本解決の鍵なのだと思います。
「レジ袋は要りますか?」と問われることに慣れてしまうのではなく、
環境負荷を最小化するために、何が最適なのか、自問自答する習慣を身につけ、
大きなうねりとなって、改善へ向かえばいいなと考えております。
私個人としては、エコバッグの200回利用を買い替えの目安にし、
受け取ってしまったレジ袋はゴミ袋として利用することから始めてみたいと思います。
*1 LCAを考える(一般社団法人 プラスチック循環利用協会)
https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf6.pdf
*2 Life cycle assessment of supermarket carrierbags:
a review of the bags available in 2006(英国環境庁)
https://www.gov.uk/government/publications/life-cycle-assessment-of-supermarket-carrierbags-a-review-of-the-bags-available-in-2006
*3 プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/document/guideline.pdf
編集後記
「2020.1.29号 狩りに出るまでの長い道のり」(*1)でも記載したとおり、
私は狩猟免許を取得したものの、「ペーパー猟師」化しているのですが、
縁あって、今年の7月末頃から小田原市にて罠猟を始められる事になりました。
*1 メールマガジン バックナンバー 2020.1.29号
https://www.shinka.com/mailMagazine/ml003.html
社会問題に関心がある、狩猟に挑戦したいと周囲に話し、
免許を取りに行ったことで繋がった縁によるところが非常に大きく、
思いを言葉にすること、準備が万全でなくても行動に移してみることの
大切さを思い知りました。
詳細はまた今後のメルマガにてお伝えできればと思います(笑)
それでは、次号もお楽しみに!
菅原 隆