2020.05.08号 VOL.28
電子契約にするとハンコはどうなる?
こんにちは。シンカ エグゼクティブマネジャーの山内です。
弊社では在宅勤務を機に、厚生労働省や東京都のテレワーク助成金も活用しながら、
アナログ業務を見直すことにしました。
業務を洗い出したところ、概ね下記のようなものが挙げられました。
営業部門はほぼ解消ができており、基本的には、管理部門にまつわる業務です。
・被請求書の社内回覧を、印刷+デート印にて行っている
・請求書はクラウドからのPDF出力だが、お客様には郵送対応をしている
・契約書は、製本のうえ署名捺印し郵送している
・社会保険・就業規則関連の届け出は、社労士事務所と連携し紙で行っている
つまり、「紙・捺印・郵送」がネックになっていました。
管理部門の協力も得ながら、フローの見直しや、社労士事務所への相談等により
解消できる部分も多かったのですが、最後まで理解に時間がかかったのが、
上記の「捺印」に代わる「電子証明書・電子署名」でした。
「契約書にはハンコを押すものだ」「印影がないといけない」という固定観念が、
理解を邪魔することになりました。
電子契約・文書管理サービスを提供されている営業の方が丁寧に
要点を教えてくださいましたので、ご紹介します。
■電子証明書 :紙の世界でいう「印鑑」
■電子署名 :紙の世界でいう「捺印」、「誰が」「何を」に対応。
■タイムスタンプ:紙の世界でいう「消印」、「何を」「いつ」に対応。
・前提として、印鑑は会社に紐づくものもあるが、電子署名は「個人」に紐づくもの
・電子証明書にはレベル感があり、G-ID(行政申請に必要)のような実印クラスから
三文判クラスまで存在する
・G-IDは、発行に際し、本人確認(住民票提出)や郵便局での本人受け取りなどがあるため、
まだ多くは広がっていない(各府庁の電子申請e-GOVや国税電子申告e-TAXが対象)
※弊社でも確認しましたが、税理士事務所や社労士事務所がでG-IDを取得していることにより
間接的に電子申請が可能となっています。
・一般的に用いられているのはパブリックID。直接電子証明書は利用しないものの、
一定のシステム・ルールのなかで、認定の証明書が発行される。三文判と実印の間くらいのイメージ
※電子契約クラウドサービスの大半がこちらに当てはまるようです。
また、電子署名法の条文から、認証業務(≒認証サービス)の定義は
以下のように整理できるそうです。
〇認証業務…電子署名が当該利用者に係るものであることを証明するサービス
〇特定認証業務…認証業務のうち、主務大臣が定める技術的安全性を備えたデジタル署名を利用したサービス
〇認定認証業務…特定認証業務のうち、主務大臣の認定を受けたサービス
(分類の引用)
クラウドサイン リ・デザイン「電子署名法における認証業務・特定認証業務・認定認証業務の違い」
https://www.cloudsign.jp/media/20181211-tokuteininsyougyoumu/
どのレベルを利用するかは、<訴訟リスク>を鑑みてがよいだろうとのことでした。
民法における売買契約を基準に電子ログが使われていることもありますし(例えばamazon)、
民事訴訟法において、捺印署名した証明の重みが増し、かつ、
建設業のように金額が大きい取引の場合は、リスクを極力回避するために、
証拠力が非常に高い、厳格な認証を行っているサービスの方が向いているかもしれません。
現在の契約書の位置づけ、訴訟リスク、コストを鑑みての判断をおすすめします。
また、電子署名法とは別に、「電子帳簿保存法」があり、
これまで紙での保存義務があった書類をデジタル保管する際には、
別途税務署への申請が必要です。ご注意ください。
下記に、私が調べているなかで、わかりやかったサイトをご案内します。
ご参考にしていただけたら幸いです。
▽電子認証局会議「電子署名活用ガイド」
http://www.c-a-c.jp/about/knowledge.html
▽セコムあんしんエコ文書サービス「FAQ~よくある質問~ 基本情報/用語集」
https://www.gmo-agree.com/about/
▽GMO電子印鑑Agree「電子契約とは」
https://www.gmo-agree.com/about/
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株式会社シンカ
エグゼクティブマネジャー 山内 綾子