シンカメールマガジン
『 真価と進化 』

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2020.02.26号 VOL.7
都会の日常風景から想うこと


こんにちは。株式会社シンカの山内と申します。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、20日には厚生労働省からイベント主催者に対し、
開催の必要性を改めて検討することを求めるメッセージが出ました。

周囲でも、様々なイベントやセミナーの見送りが決定しています。
業態によっては、ビジネスに直接大きな影響が出始めたり、
混雑や対面を避けた勤務形態へ移行されるなど、
対応に苦慮されている方も多いことと存じます。

対策・予防に努めながらも、私たち自身の活力まで落ちることのないよう、
この局面を乗り越えてまいりましょう。

それでは、『 真価と進化 2020.02.26号』、最後までお付き合いください。


都会の日常風景から想うこと

先日、とある金曜日に、新宿駅から山手線の最終電車に乗る機会がありました。

コロナの影響も感じさせないほどの人の多さ。朝のラッシュ以上の満員状態。
言わずもがな、酔っ払っている方も多数乗車しています。

数駅を過ぎたころ、ドアの近くに立っていた若いスーツ姿の男性が、
その場に静かにすっと座り込んでしまいました。

「酔っ払って眠いのか、体調が優れないのか、大丈夫かな」と
思った矢先、その男性の後ろ(私のすぐ前)にいた年配の男性が、
思いきり足を振って後退をしてきました。
きっと、何か迷惑をかけられたら嫌だと思い、
少しでもその若い男性から離れたかったのしょう。

でも、電車は満員状態。
その振り切った足が、私の脛に思いきりぶつかり、続いて足を強く踏んだことに、
彼は気が付いていたのかいなかったのか…。
謝ってもらうことはできず、悲しい気持ちのまま池袋駅に到着しました。

池袋で沢山の人が降りるときにも、若い男性は座ったまま。
皆ふと目線を落とすものの、降車の波は止まらず、
彼にぶつかりながらも、次々と人が降りていきます。

席も空いてきたので、声をかけようかと思いあぐねている間に、
次の駅で彼は若干ふらふらしながら降りていきました。

さて、都会にお勤めの方であれば、上記に近い光景は、
どこかしらで目にしたことがある、もはや日常のなかで違和感すら
感じなくなっている光景ではないでしょうか。

都会では、人が多く、繋がりが希薄な故、目の前にいる人への
無関心な様子が度々目に入ってきます。
知らない人だから怖い、どうでもいい、
余計なことに巻き込まれたくない、様々な背景があると思います。

でも、私たちは工業製品ではありません。

みんながベルトコンベアのように同じペースで電車を降りれるわけではないし、
たまには酔っ払ってしゃがみこんじゃうこともあるかもしれないし、
足を蹴られれば痛いし痣もできる。

都会のなかで失われたものに、最近多くの人が気が付き始めています。

知り合いを6人たどると、世界の誰とでも繋がることができるという理論を
昔聞いたことがあります。

あの酔っ払いのお兄さんも、足を踏んで謝ってくれなかったおじさまも、
6人たどれば繋がるのだろうか。

足の痛みも残りつつ、都会ならではの情景に胸がちくっとしながらも、
ほろ酔いだった私は、「誰をたどったら、あの人たちに繋がるんだろう」と
楽しい妄想に換えながら、電車を降り家路についたのでした。

編集後記

最近では、自分が全く別の文脈で接点を持った人たち同士が
直接繋がることも多くなりました。

「きっと、同じ山を登っているからなんだね」とある人に言われて
とても納得感がありました。

あなたが登っている山の頂上には、どんな景色がありそうですか?

それでは、次号をお楽しみに!

山内 綾子