2020.1.22号 VOL.2
一番怖いのは自分自身のビジョンがブレること
こんにちは。株式会社シンカの松本と申します。
2020年が幕を開け、早いものでもう一か月が経とうとしています。
先日、全国では大学入試センター試験が行われており、
自分の受検していたときのことをしみじみ思い出していました。
1990年に始まったセンター試験は今回が最後で、
2020年度からは大学入学共通テストに衣替えされるようで、
私のいとこも現在対策に追われています。
さて今回は、
東京オリンピック開催の年、
弊社としましては創業25周年を迎える年でもある2020年の最初に
友人の覚悟を持った決断とその「答え」に友人としてだけでなく、
一人のビジネスマンとして大きく心揺さぶられるような体験をしましたので、
今回の機会にご紹介させていただければと思います。
拙文で恐縮ですが、
皆さまの何か考えるきっかけとしていただければ、大変嬉しく思います。
それでは、『 真価と進化 2020.1.22号』、最後までお付き合いください。
一番怖いのは自分自身のビジョンがブレること
”あなたは何かの決断を迫られたとき、その指針となるものはありますか”
”たとえ何かを犠牲にすることになったとしても、
成し遂げたい、譲れないものはありますか”
いつの日からか私の年越しは
地元で決まったメンバーで集まることがお決まりのパターンになっていました。
除夜の鐘を鳴らし、年越しそばを食べ、と私の年越しの過ごし方はさておき、
今年も例年通り地元で同じメンバーで集まっているとき、
イラストレーターの仕事をしている友人の覚悟ある決断とその「答え」に
私自身、身が引き締まる思いを経験しました。
この友人は女性(以下「彼女」という。)で、
私と彼女は高校までを同じ地元で過ごしました。
その後彼女は専門学校を卒業し、東京のとあるイラストレーターの会社に就職、
現在もそこでイラストレーターとして働いています。
当初はほとんど仕事がなく苦労していましたが、
努力の甲斐あって最近になりようやく少しずつ仕事が増えていました。
そんな中、
イラストレーターとしてさらに仕事を増やし、
多くの人に見てもらえるようなイラストを描くためには、
世の中が求めているもの(ニーズ)に合わせていかなければならないと言われました。
世の中のニーズに合わせ、
多くの人が求めているもの、見たいものを描くということは、
必ずしも彼女のやりたいこと、描きたいことと一緒ではありませんでした。
彼女は、
「イラストレーターとして多くの人に見てもらうために自分の信念やスタンスを曲げ、
世の中のニーズに合わせていくのか」、
それとも
「あくまでも自分のやりたいこと、描きたいものを追求する中で、
世の中に理解してもらえるよう努力するのか」
というイラストレーターとして一つの決断を迫られていました。
それはまるでイラストレーターとしての「在り方」そのものを
問われているようでもありました。
そのような思いを抱えたまま、今回彼女は地元へ帰省し、
その中で、両親、友人、高校の先生など多くの人と会い、
たくさん悩み、考え、その問いに対して彼女なりの「答え」を出しました。
その「答え」は、
”やっぱり誰になんといわれようとも、
自分の信念に従って描きたいものを描く。周りの人は関係ない”
私は冒頭の「やっぱり」が彼女らしいと思いました。
多くの人に見てもらうため自分を偽るよりも
描きたいものを描いた自分のイラストを理解し、いいと言ってくれる人たちを大事にし、
その人たちのためにも自分の信念を貫き、自分にしか描けないイラストを描きたい。
その決断の中には、
「自分の信念を曲げ、世の中のニーズに合わせてイラストを描いている自分の顔
や周りの人の顔が想像できなかった。
どんなに多くの人が認めてくれたとしても、
本当に描きたいものがわからなくなっている自分には何もない、
何の魅力もないように思えた」と言っていました。
イラストレーターを志したときの気持ちを思い出し、
どんなイラストレーターになりたいかと逃げずに真剣に向き合って出した
彼女の決断には一寸の迷いもありませんでした。
イラストレーターとしての在り方を見つめ直し、覚悟を決めた彼女は、
この先どんなことが起こっても決してブレず、
自分の信念や気持ちを真っすぐに貫いていくと確信しています。
「自由」には必ず「責任」が伴います。
そのような中で、
周りの環境が変化することを前提に、自分のやりたいこと、譲れないものは何か、
今一度向き合って考えないといけないと心から思いました。
嫌われることを恐れずに、自分の世界観を表現する。
伝わる人に伝わればそれでいい。
「一番怖いのは自分自身のビジョンがブレること」
編集後記
今回の友人の決断からいろいろと調べていると、
サカナクションというロックバンドの山口一郎さんの
非常に興味深い記事があったのでご紹介します。
働き方改革に関する議論が多く重ねられている中、
「ライフワーク」「ライクワーク」「ライスワーク」という考え方を書いたものです。
自分の仕事をどう捉えるかで、働くモチベーションは大きく変わります。
働く人の労働に対する考えは3つのステージがあると言われており、
それぞれの意味は以下のようになっています。
・ライスワーク(Rice-Work)
生活のために、ごはんを食べていくために働くこと。
・ライクワーク(Like-Work)
その仕事が好きで働くこと。
・ライフワーク(Life-Work)
仕事とプライベートは分けず、自分の使命と思える仕事で働くこと。
労働する仕事だけではなく、一生続けていく趣味や活動についても使われる。
【ライスワークでは「やりがい」を、ライフワークでは「生きがい」を】
という言葉があります。
自分の生きがいと言えるものを仕事にできた場合、それはライフワークと言えるでしょう。
しかし、どんな仕事も社会に出て働くことは多くの学びがあります。
趣味や特技に直結しなくとも、自分の仕事を「使命」と捉えられると、
それがライフワークとなり得るのです。
美術やデザイン、音楽などを志していると、
「好き」と「仕事」について思い悩む時期があると思います。
この記事にもあるように、選択肢の一つとして、
ライスワークとバランスをとりながら
ライフワークを実現させることを考えてみてもよいかもしれません。
それでは、次号をお楽しみに!
松本 来杏